朝日のようにさわやかに

恩田陸「朝日のようにさわやかに」(新潮社、2007年)
図書館にて。
恩田さん、短篇、新刊・・といわれれば、予約して借りるのが当たり前。笑。

というわけで、借りて読んだのだけれど・・簡単に言うと、苦手分野だった。
まったく爽やかでなく、殺伐としたお話が目立つ。
怖い・・怖いよ〜!
最後まで読んで、ぞくっとするタイプのお話が多く、夏に読むにはいいのかもしれない。
怖い・・と思いながらも読んでいけば、そこはさすがの恩田さんというか、短いけれどきちんとまとまった短篇が多く、読ませるものも多い。

ただ、全部が同じ種類の小説ではなく、様々なところに様々な形で書かれたものを「短篇」ということであわせた一冊らしく、まとまりはない。恩田さんの色んな世界を手軽に楽しむという意味で、恩田ファンには面白い1冊かと思う。

※以下の感想兼覚書には、ネタバレを含むかもしれません。ご注意。

「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」に登場した学校が舞台の「水晶の夜、翡翠の朝」が個人的には、最も好みだった。あとがきにもあるけれど、邪悪なヨハンくんが好きだ。

「ご案内」は、連載時につけられていたという町田久美さんの絵を見てみたい。まさに「ご案内」口調ながら嫌味をこめて恐ろしいラストへいざなう文章がなんともいい味を出している。
「あなたと夜と音楽と」はラジオという設定が面白いミステリ。これも割りと好みだった。
「冷凍みかん』、これを読んだら、冷蔵庫に眠っている冷凍みかんが気になって仕方ない。中に混ざってないよね・・。
「赤い鞠」、う〜ん、これは正直よく分からない。
「深夜の食欲」、映像を頭の中で思い浮かべてとてもとても怖くなってしまった。深夜のルームサービス、歯・・というキィワードを覚書として。
「いいわけ」「一千一秒殺人事件」、ともに好みではない。
「おはなしのつづき」、う〜ん、病気の子供に童話を語るという形式のお話。物足りなく感じた。
「淋しいお城」、ミステリーランドの予告編だそうで、これは本編が非常に楽しみ。恐ろしい童話ちっく。
「楽園を追われて」、過去に文芸部だった四人が同じ部員だった男の遺稿を預かることとなり集う。とりたてて謎があるわけでも、恐ろしい雰囲気もない。でもなんとなく分かるなぁという一篇。
「卒業」、1番まっすぐに怖い。スプラッタホラー。
「朝日のようにさわやかに」表題作。これと「邂逅について」はどういう分類になるのか分かりにくい。

朝日のようにさわやかに 朝日のようにさわやかに
恩田 陸 (2007/03)
新潮社

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格闘する者に○

三浦しをん「格闘する者に○」(草思社、2000年)

図書館にて。

内容(「BOOK」データベースより)
藤崎可南子は就職活動中。希望は出版社、漫画雑誌の編集者だ。ところがいざ活動を始めてみると、思いもよらないことばかり。「平服で」との案内に従って豹柄ブーツで説明会に出かけると、周りはマニュアル通りのリクルートスーツを着た輩ばかりだし、面接官は「あーあ、女子はこれだからなー」と、セクハラまがいのやる気なし発言。これが会社?これが世間てもの?こんな下らないことが常識なわけ?悩める可南子の家庭では、また別の悶着が…。格闘する青春の日々を、斬新な感性と妄想力で描く、新世代の新人作家、鮮烈なデビュー作。


実は、表紙がマンガっぽいのと、『○』というのがなんとなく気になって敬遠していた。
三浦しをんさんの著作は、読みやすい。
文章がさらさらとうまく流れて、すぅっと引っ張っていってくれる感じがする。
この小説も、すご〜く大きな事件が起こるわけではなくて、どちらかというと淡々と進む。でも、設定がちょっと変わっていて(主人公の家の事情とか、主人公の付き合っている人が老人であるところとか)そこがポイントになって、たるたるしているのに、なんか面白い。
主人公が悪戦苦闘する出版社における就職試験というのがとっても面白かった。

格闘する者に○ 格闘する者に○
三浦 しをん (2000/04)
草思社

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夜は短し歩けよ乙女

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」(角川書店、2006年)
図書館にて予約していた本。
これは!ビンゴ!!
面白かった!!
以前読んだ、森見さんの小説よりぐんっと面白く感じた。

出版社/著者からの内容紹介
鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー!
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!



第一章になっている「夜は短し歩けよ乙女」だけは、どこかで読んだことがあったのだけれど、そのときは「ちょっと変わってる」くらいの印象しか正直抱いていなかった。
が、これ1冊通しで読むべき。
どこか生真面目で、周囲で何が起きてもわが道を行く、飄々と(本人はしごく真面目に)すいすい世の中を歩いている黒髪の乙女。
この「乙女」のキャラもなかなかいい。嬉々として緋鯉を背負って小さな達磨を首からかけて歩いたり、意外と酒豪だったり、真面目に「風邪の神様に嫌われてます」と嘆く(?)乙女、最高。
そして、その彼女に恋し、ひたすらアピールしようと孤軍奮闘、もう可哀想になるくらい様々なおかしな試練に立ち向かう先輩が、また!
特に面白かったのが、第三章「御都合主義者かく語りき」。大学祭のハチャメチャぶりが、最高におかしい。「偏屈王」を見てみたいし、韋駄天コタツ!気になる気になる気になる〜〜〜。

この、もってまわったような独特の文体や、ときとして古めかしい言葉遣いや単語の選び方も楽しい。

一気に森見さんファンになってしまった。
夜は短し歩けよ乙女 夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦 (2006/11/29)
角川書店

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脳内メーカー

今はやりの脳内メーカーをやってみた。

はい、まず
ワタクシ。本名でやってみた。
nounai-me

わははは。
食べることと楽しいことで、表層を覆いながら、芯の部分は悩みばっかりとは!
あたっているのかも?!笑。

というわけで、続いて、サクラさん。

nounai.saku


ある意味、これも当たっているかも。笑。
Hはどうか知らないけれど、そこそこ「悪」(イタズラ)で、「欲」(食欲)もあって、「休」むことばっかり(昼寝三昧)が、最近のサクラさんの日常かも・・・。

これ面白いわぁぁ。


因みに、hareとサクラの脳内相性メーカー
nounai-sakuhare


サクラは、私に「好」き〜って言っているけれど、内心は、ちょこっと「恩」を感じているのね。うははは。
私は・・・サクラに対して「欲」は分かる(いつもくっついていて欲しいとか・・)けど、「気」がよくわかんないなぁ。
気にしてるってこと??笑。

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鹿男あをによし

万城目学「鹿男あをによし」(幻冬舎、2007年)
「鴨川ホルモー」で度肝を抜いてくれた作家さん、万城目さんの第2作目。図書館にて予約して借りた。
しかし、いきなり直木賞ノミネートにびっくりした。

今回の小説、舞台は、奈良。
奈良・・・といえば、鹿。そう、鹿が大きな役割を担っている。
題名も鹿男だしね。笑。

主人公はトラブルから教授に命令されて奈良の女子校の教師として数ヶ月赴任することになってしまう。
教育実習に行ったのは六年も前、しかも相手は女子校・・・。
赴任早々遅刻してきた上に「マイシカに乗ってきたら、駐禁をとられて遅刻た。奈良の人はみんなマイシカに乗るのだ」という女生徒堀田イトとぶつかってしまう。そんな状態を解決せぬうちに、なんと鹿に話しかけられ、ある任務を一方的に負わされてしまうのだった。

どこから言ったらいいか。
まず、主人公以外の登場人物の面白さ。
漱石の「坊っちゃん」のような雰囲気をたたえている。
リチャード、かりんとう、マドンナ(これはもろに坊っちゃんを意識?)・・などなど先生方へのあだ名もおかしい。

学園物かと思いきや、突如、神代の物語が絡み合ってきて鹿がしゃべり、伝奇冒険物風になる。しかし、その任務を果たす途中の部分は、まるきりスポコンもの。
一粒で三倍美味しい筋立てになっている。

しかも、会話や、主人公が頭の中でつぶやくことがいちいち面白い。
文章が軽やかで読みやすくて、ひねりがきいているところもいい。

全体を通しての印象は、「鴨川ホルモー」ほどの爆発力がない代わりに、うまくまとまっていて、読みやすい。ちょっと軽い感じがしなくでもないのだけれど、そこに奈良や鹿&狐&鼠、神話などを絡めたことでうまくバランスをとっているように思う。
次の著作が早く読みたくなる。
お勧めの1冊。
鹿男あをによし 鹿男あをによし
万城目 学 (2007/04)
幻冬舎

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蓬莱洞の研究・邪馬台洞の研究

田中啓文「蓬莱洞の研究〜私立伝奇学園高等学校民俗研究会その1」(講談社ノベルズ、2002年)

出版社/著者からの内容紹介
先人なし、人外魔境の“新”学園伝奇ミステリ!
PS2“かまいたちの夜2”の原作者渾身の新シリーズ!
“常世の森”で続出する失跡事件、学園の秘密行事“蛭女山祭(ひるめやまさい)”中に現れる巨大な怪物、合宿中のいわくありげな旅館で発生する連続殺人!私立伝奇学園民俗学研究会を次々に襲う理不尽な事件に古武道の達人女子高生諸星比夏留と民俗学の天才高校生保志野春信が挑む。“かまいたちの夜2”の原作者が贈る学園伝奇ミステリの傑作。



田中啓文さんの著作を読もう月間(個人的に)開催中につき、図書館にて借りてみた1冊。

これもまた、なんとも馬鹿馬鹿しくおかしく面白い小説。
↑の「かまいたちの夜」の原作者とかってことは気にしないほうが・・。笑。

主人公、比夏留は、古武道の達人で超大喰らい。彼女の家が継承するその古武道では体重があることが望ましいため、大食いが習慣となっているのだ。(とはいえ、かなり非常識な量を食べる)
その彼女が、吹奏楽部に入ろうとしたのに、いろいろあって、民俗学研究部にはいることになってしまう。そして、彼女が通う学園は、なんとも不思議な森(常世の森)を背後に抱えた学園だったのだ。
その森は立ち入り禁止で(それもかなり激しく)、入った以上は生死は保障できないという。それもそのはず、信じられないことにそこには、ありえないイキモノが生息していたり、ライフル銃をぶっぱなす人間もいたりするのだ。

いや〜ほんと、馬鹿馬鹿しい。
でも、なんか読んじゃうんだよなぁ。例によって駄洒落も満載。

蓬莱洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その1〉 蓬莱洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その1〉
田中 啓文 (2002/10)
講談社

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同じくシリーズ2作目、
田中啓文「邪馬台洞の研究」も読了。
こちらも同じく、駄洒落と破天荒なストーリィ展開に脱力すること間違いなし。

邪馬台洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その2〉 (講談社ノベルス) 邪馬台洞の研究―私立伝奇学園高等学校民俗学研究会〈その2〉 (講談社ノベルス)
田中 啓文 (2003/11)
講談社

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六月の桜〜伊集院大介のレクイエム

栗本薫「六月の桜〜伊集院大介のレクイエム」(講談社、2007年)

伊集院大介シリーズ。図書館の新刊本の棚で発見、もちろん、すぐに借り出した。

主人公は六年生の女の子、桜子。
シングルマザーで多少アルコール依存症気味の母、肥満児でゲーム好きの弟の三人暮らしで、家事一切を引き受けている。生活に追われているといってもいい日々で、しかもかなり大人びたところがある少女だったせいか、同級生の中に馴染めず苛められ気味だ。
彼女は桜の木に惹かれて、広い敷地大きな屋敷だけれど、全く手を入れられず草ぼうぼうの廃屋のようなところに一人住まいする老人津坂と知り合う。そのお屋敷は、トタン塀で囲まれ、そのトタン塀には、津坂が見事な筆跡で(毛筆で)書いた「告知」なるものが張り巡らされているのだ。つまり、周囲からは、土地持ちだが、かんしゃくもちで、奇矯な老人として見られている津坂。
そして二人は、二人の世界を楽園としていく・・・。

途中までは、いじめられっこと、孤独な老人がであってお互いを支えとしていく・・という風に展開していくだろうかと読んでいた。
が・・支えにするのはいいけれど、そこで世界が閉じてしまった。
そこから、自分を認めてくれる人がいるという支えを胸に、世の中とうまく関わっていくのではなく、だから、二人だけの世界にいよう・・という方向になってしまった。

どこかでうまい方向に向かわないものか?
伊集院大介が出てきたということは・・と思いながら読みすすめていったけれど、やはり・・・。
哀しかった。
六月の桜 伊集院大介のレクイエム 六月の桜 伊集院大介のレクイエム
栗本 薫 (2007/06/29)
講談社

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UMAハンター馬子〜闇に光る目

田中啓文「UMAハンター馬子〜闇に光る目」(学研・ウルフノベルズ、2003年)

内容(「BOOK」データベースより)
ド派手な衣裳にこてこての化粧、見た目は「大阪のおばはん」で、どケチ、傲慢、粗暴、両刀使いの淫乱だが、ある種の民俗学的な知識は学者顔負け…。素性は謎だらけの蘇我家馬子は幻の伝統芸能「おんびき祭文」唯一の継承者である。芸は一流ながら、ドサ回りばかりなのは不老不死の伝説が残る地方をえり好んでいるからだ。しかし弟子イルカもその理由を知らない。行く先々にはなぜかUMAが現れ、馬子が珍説・奇説で正体を暴いていくのだが…。痛快無比の伝奇ギャグミステリ、パワーアップして登場。


「田中啓文さんの著作を読もう!」月間(?)を一人で開催中なので、図書館にて借りてみた。
どうやら、シリーズ物らしく、前の巻があるみたい。だけど、これだけ読んでも全く問題ない。
まず、最初に「これまでのあらすじ」というものもあるし、↑の内容(裏表紙に書かれている)で見た設定さえ分かっていれば大丈夫。(本文内でも説明があるし)

UMAとは、なに?というくらいに、そういうものに詳しくない私。
UMAとは、未知生物というものらしい。いわゆる、雪男やネッシー、ツチノコなんかがそうなんだそうだ。

この本は、「恐怖の超猿人」、「水中からの挑戦」「闇に光る目」という三章から成っており、それぞれの章の最初に「豆知識」として、「雪男」「グロブスター」「チュパカブラ」というその章に登場するUMAについての説明も載せられている。
知らない世界だったので、それらのUMAについて知るだけでも面白かった。

そして・・・馬子の超絶わがままなおばちゃんキャラが!下品だし無茶苦茶だし・・弟子のイルカ(っていうか、この名前だけでも、もうどれだけ無茶苦茶か分かるってもんだ)ちゃんの苦労たるや・・・・。

UMA(らしきもの?)は出てくるが、馬子がばったばたと正体を暴きまくり、てきと〜に解決していく。ミステリというか・・なんといえばいいのか・・・笑。
「伝奇ギャグミステリ」というのが本当にぴったりだ。

最後に・・駄洒落や馬鹿馬鹿しい内容が嫌いな方は絶対読んではいけません。駄洒落が満載ですから!

UMAハンター馬子―闇に光る目 UMAハンター馬子―闇に光る目
田中 啓文 (2003/07)
学習研究社

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ネヴァーランドの女王

ケイト・サマースケイル(金子宣子訳)「ネヴァーランドの女王」(新潮社、1999年)

図書館で表紙をたまたま見かけて気になって借りてみた1冊。

ネヴァーランドへ魂の地図を求めてー
1920年代の華麗で退廃的なヨーロッパと英領西インド諸島の小島、ホエール島に君臨した英国女性ジョー・カーステアズ。
その数奇な人生に迫る。
(裏表紙より)



このジョー・カーステアズ。
実は、女性である。この本の表紙の女性がその人である。
本名メアリアン・バーバラ・カーステアズ。
常に男装を通し、ジョーと男名を名乗り、女性の恋人を持つレズビアンであり、国際モーターボートレースイギリス代表であるパワフルな女性。
しかも、彼女、大金持ちで、なんと英国領の島を買い取り、島の長として君臨していた。その華やかな交友関係や、様々な伝説に彩られた生涯、象徴的な存在である彼女の相棒(?)トッド・ウォドリー卿(お人形)について、丁寧に書かれている。

第一次世界大戦中に、男としての人生を歩み始めた「ジョー」に最初に影響を与えたのが、かのオスカー・ワイルドの姪であるドリー・ワイルドであるところはなかなか興味深い。退廃的な世界の代表であるオスカー・ワイルドの姪のドリーもまた同じ世界の住人で、ジョーに性の手ほどきをしたという。
女だてらに運搬隊として戦争に参加→女性ばかりのタクシー会社設立→モーターボートに魅せられ英国代表に。世界最速の女として名を馳せる。→一世を風靡したその名声にかげりが見え始めると自らの「王国」として島に君臨→体調面精神面でも島での影響力を失えば、大金持ちとしてフロリダで隠居・・・華々しい人生だ。

しかし、読み終えたときなんと、激しい、それでいて臆病な人だろうか・・と思った。
常に虚勢を張り続け、自ら「伝説」を作りあげ、その「伝説」に立てこもって生涯をすごした。それはとても、幸せで、そしてとても哀しい感じがする。
捨てられそうになったら自ら捨て、それを彩る伝説を流布する。
いつも傍らにあるのは、「永遠の少年」であるトッド・ウォドリー卿。
その奔放で、向こう見ずな人生を支えたのが、祖母からの莫大な遺産を含む資産力だが、ただそれを消費するにとどまらず、常に自分に何かをもたらすものを自ら創り上げようとしている。「向こう見ず」と言われることを喜ぶタイプのひとなのだ。

ぱっと見たときは、ふっくらした男性か?と思わせる人が、刺青の入った腕をむき出しに、くわえタバコで、お人形を見つめるその写真は、なにかこう独特の気配を漂わせていて、奇妙な感じがする。

このお人形のウォドリー卿は彼女にとって、永遠の少年であり、時には色っぽい大人の男でもある。彼のために作り出したお伽話の世界・・それはジョー自身のための世界でもある。そして、普通なら、それは恩行遊びの中で終りそうなのに、それを実現してしまう財力を持っていた彼女は、自らフィクションの世界に飛び込んでいった。
そして、そんな彼女を受け入れる時代が確かにあり、ジョーはそこできらきらと輝いてたのだ。それはせつな的なものだったかもしれないけれど・・。

ネヴァーランドの女王 ネヴァーランドの女王
ケイト サマースケイル (1999/04)
新潮社

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ベトナムぐるぐる

k.m.p(ムラマツエリコ&なかがわみどり)「ベトナムぐるぐる」(JTB、1998年)

先日、図書館で偶然借りた「チェンマイアパート日記」が面白くて、今度はベトナム旅行の様子を描いた本を借りてきた。

k.m.p:かね・もーけ・ぷろじぇくと・・の二人。
といっても、楽しいことをやろう、できればそれでお金を稼いでいこうというお二人なので、なんというか、のんびりしているし、淡々としている。色んなものに執着しない感じ。
お二人の個性(ムラマツさんは、パンダ好き。お腹が弱い。なかがわさんは、日焼けに弱い。)も強くなく描かれていて、嫌な感じがしない。
色んなハプニングも、二人で対策を考えたり、怒るばかりじゃなくて、それを乗り越えよう、変えようとする姿勢がいい。そして、あきらめないとこも。

お二人は、旅行者なんだけど、地元の生活というものを愛している。
だから、旅の様子は決して快適そうじゃないし、時にはいらいらしたことも書かれている。旅のガイドブックみたいに、いいことばっかりが書かれているわけじゃなくて、二人が見た様々な悪いこともそのまま書かれているのも正直な感じがして、返って信用できる気がする。

はっきりいって、私はベトナムに行くことはないだろう。
この中に書かれている旅行の様子も自分が経験するとなると、正直「勘弁」って思うことがいっぱいある。
でも、楽しく読めてしまう。なんだか楽しそうだなぁなんて思ってしまう。手書きのイラストと文字があったかみと、可愛らしい雰囲気をかもし出しているからかしら。正直に書かれている分、ベトナムへのお二人の好意が伝わってくるかかしら。

感想を書けば書くほどこの本の魅力から遠ざかってしまうような気がしてしまうけれど、お勧め。

※私が読んだのは単行本だけど、文庫もあるみたい。
ベトナムぐるぐる。 単行本 ベトナムぐるぐる。 単行本
なかがわ みどり、ムラマツ エリコ 他 (1998/11)
JTB

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小袖日記

柴田よしき「小袖日記」(2007年、文藝春秋)
お友達の、むつぞーさんの感想を拝見して、図書館で借りた1冊。いつもむつぞーさんの日記には、お世話になりっぱなし・・感謝です。

不倫の恋に破れ、捨て鉢な気持ちで飛び出し、気付けば丑三つ時の公園・・帰ろうと思ったとたんに落雷に遭遇して・・目覚めたらそこは・・
平安時代だった!!!

どうする?周囲にいるのは「おかめ」さんの集団。皆口々に、「良かった、小袖が目覚めた」って騒いでいるの。
そう、主人公の「あたし」(20代後半、女性、独身)は、タイムスリップして平安時代の女性「小袖」(18歳、女性、独身?)になってしまったのだ。しかも、この小袖、かの「源氏物語」の著者である香子様のネタ提供者(源氏物語のモデルとなる噂話収集役。情報通)だったのだ。

この設定だけでも面白い。
そして、目覚めた瞬間の驚きの最初が、匂いとオカメっていうのが!
現代の女性が突如平安時代にタイムスリップして感じるギャップがとっても面白くおかしく、書かれていて、しかもそれらが全て「さもあらん」といったものであるのが楽しい。

そして源氏物語。
小袖(=あたし)が聞きつけた噂を辿って実際に起こりつつある事柄に触れ、それをうまく物語にすることで、渦中の女性の気持ちを思いやり、救うことができる。マスコミ操作のようなことをするところもあり、納得できるところも沢山ある。
特に、むつぞーさんも書かれていたけれど、「明石」のところは納得。
そうだよね。そうだといいな。
各章ごとに、「夕顔」「末摘花」「葵」「明石」「若紫」とつけられており、それぞれ源氏物語の中での超有名エピソードが展開される。
「あたし」による、簡単な各エピソードの紹介などもあるので、源氏物語の知識が殆どない方でも十分楽しめるつくりになっている。

柴田さんは本当にうまい作家さんだなぁと改めて思う。極上エンターテイメント。
おすすめ。
小袖日記 小袖日記
柴田 よしき (2007/04)
文藝春秋

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落下する緑

田中啓文「落下する緑」(東京創元社、2005年)

田中啓文さんの著作で今までに読んだことがあるのは、落語ミステリ(「笑酔亭梅寿謎解噺」・・「ハナシがちがう!」という題名で文庫化)だ。
面白かったので、他の本も・・と検索してみたら、意外にもその他の著作はSFやホラーが多い。
色んな物語が書ける人らしい。
しかし、デビュー作はしっかりミステリで、鮎川哲也さんが主宰する賞に応募したもので、鮎川さんにも絶賛されたという。
そして、その作品が、この「落下する緑」の表題作なのだ。

ジャズ・・なじみの薄い世界だ。
その世界で、活躍する唐島を狂言回しに据え、推理役は彼の主宰するジャズバンドのテナーサックス奏者である氷見。若手でありながら、天才的なテナーサックス奏者である彼に、様々な教養や伝手を与えようと、唐島がつれまわし、その先々で事件に遭遇するという連作短編集。

各短篇の題名には色の名前が入っており、鮮やかではあるが、そのせいで、どの短篇がどの題名か読み終えた後にぱっと出てこないのが問題かも。

ジャズを扱っているので、知らない用語が出てくることもあるが、雰囲気で分かるというか、そこにとらわれなくとも、ミステリとして十分楽しむことができる。
軽快で、ユーモアが感じられる文体も好感が持てて、さくさくっと読むことができる。
特に、探偵役である氷見のキャラクターがいい。どこかとぼけて、素直に見えながら、しっかり感じるべきところを感じ取り、すぱっと不思議を解決していくところがいい。それに素直にびっくりしたり感心したりする唐島も。

「遊泳する青」には私も大好きな某時代小説の大家がモデルだと思われる人物も登場し、驚きと楽しさを味わった。他の短篇も分かる人なら「あ!」と思うようなモデルがいるのかもしれない。


「落下する緑」:日本画家の展示会で絵の上下が変えられている騒ぎが。
「揺れる黄色」:伝説のクラリネットの謎。
「反転する黒」:行方不明の天才トランペット奏者はどこへ。
「遊泳する青」:時代小説の大家の遺作の続きが発見?!
「挑発する赤」:不愉快な評論家が稀代のジャズボーカリストを怒らせた原因は?
「虚言するピンク」:尺八を習いはじめた外人フルート奏者の苦悩は?
「砕けちる褐色」:高価なウッドベースを壊したのは誰か?

落下する緑 永見緋太郎の事件簿 落下する緑 永見緋太郎の事件簿
田中 啓文 (2005/11/29)
東京創元社

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十二国記〜華胥の幽夢(かしょのゆめ)

小野不由美「十二国記〜華胥の幽夢(かしょのゆめ)」(講談社X文庫、2001年)

出版社/著者からの内容紹介
十二国記シリーズ 珠玉の短編集登場!!
希(ねが)う幸福への、期待、葛藤、懊悩(おうのう)、失意、歓喜。ようこそ、夢に誘われし五つの門(いりぐち)へ!
才州国の新王と麒麟を通して、一国の存亡を描いた『華胥』をはじめとして、シリーズ人気キャラが登場する愉しいエピソードを含む短編集ならではの醍醐味の5編!
「夢を見せてあげよう」――しかし、荒廃と困窮を止められぬ国。采王砥尚(さいおうししょう)の言葉を信じ、華胥華朶(かしょかだ)の枝を抱く采麟(さいりん)の願いは叶うのか。
「暖かいところへ行ってみたくはないか?」――泰王驍宗(たいおうぎょうそう)の命で漣国(れんこく)へと赴いた泰麟(たいき)。雪に埋もれる戴国(たいこく)の麒麟がそこに見たものは。
峯王仲韃(ほうおうちゅうたつ)の大逆を煽動した月渓は、圧政に苦しむ民を平和に導いてくれるだろうか。
陽子が初めて心を通わせた楽俊(らくしゅん)は、いま。
希う幸福への道程を描く短編集、ここに!!


十二国記世界で起きた事件は今までにここの日記にも書いてきた、様々な物語で語られる。その事件の「その後」や「その前」について詳しく書かれた短編集といえる。

実は、読む順番を間違えて(出版されたのはこちらが後なのだけれど)「黄昏の岸 暁の天」の前に読んでしまったのだけれど、むしろその方が良かったのではないかという気もする。
五つの短篇のトップバッターを飾る「冬栄」には、「黄昏の・・」の「事件」の前の状態の泰麒&驍宗が出てきて、彼らの関係や、泰麒の悩みや迷い、不安も丁寧に描き出されている。なぜ泰麒が一人旅をすることになったかは、「黄昏・・」に書かれているけれど。しかし、泰麒はいつまでもこうやって迷っていたのね・・。

この中で最もすきなのは、やはり、陽子&楽俊の文通(?)の様子が書かれている「書簡」だ。明るく強く、進んでいるさまがいい。
あと、月渓(「風の万里 黎明の空」で祥瓊の父である芳王を誅し国民を王の悪政による疲弊から救った)が心を決める「乗月」も好みだった。

華胥の幽夢(ゆめ)―十二国記 華胥の幽夢(ゆめ)―十二国記
小野 不由美、山田 章博 他 (2001/09/05)
講談社

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十二国記〜黄昏の岸 暁の天(上・下)

小野不由美「十二国記〜黄昏の岸 暁の天 上・下」(講談社X文庫、2001年)

出版社/著者からの内容紹介
十二国記シリーズ待望の新刊登場!!
反乱鎮圧に出かけたまま帰らぬ王、そして、消えた麒麟――。戴国の命運を案じ、将軍李斎は命を賭けて慶国を訪れる!
登極から半年、疾風(はやて)の勢いで戴国を整える泰王驍宗は、反乱鎮圧に赴き、未だ戻らず。そして、弑逆(しいぎゃく)の知らせに衝撃を受けた台輔泰麒(たいほたいき)は、忽然と姿を消した!虚海のなかに孤立し、冬には極寒の地となる戴はいま、王と麒麟を失くし、災厄と妖魔が蹂躙する処。人は身も心も凍てついていく。もはや、自らを救うことも叶わぬ国と民――。将軍李斎は景王陽子に会うため、天を翔る!待望のシリーズ、満を持して登場!!




泰王驍宗が、即位して、どんどん国を整備して行く中、自分が子供である=守られる=重要なことでも自分が胸を痛めそうな事柄は耳に入れない=そういう事柄でも耳に入れてくれる人を信頼する・・という状況に陥ってしまった泰麒。
そんな中で、反乱制圧に出た王が姿を消し、最大の裏切りが泰麒を襲う。麒麟も王もいなくなり偽王の圧政で国は荒れ果てる。そして李斎は、それが大きな規則違反を誘発すると分かっていながら、陽子に助けを求めていく・・。

陽子がすっかり立派になっていて驚くとともに、泰麒が相変わらず自信を持てずにいることにうずうずする。
この上下巻によって、十二国記の世界の掟や、その抜け道(?)もある程度理解することができる。
また、どの国の王が誰で、麒麟が誰ということもまとめて出てくるため、それらについてある程度整理して覚えていないと、混乱しそうになる。(私はこの巻を読むために、それまでの登場人物をまとめたものを作った)
そういう意味では、説明が多くわりと読みにくいかもしれない。
こういう「枠組み」がしっかりしている物語はとても面白いが、それが複雑になればなるほど、その説明に時間がとられてしまいがちになるという弱点がある。
その弱点が、うま〜く克服されているところがさすがだろう。
みちみちと書き込まれているが、ぐいぐいとひきつける力もある。
今回はその「枠組み」のせいで、王や麒麟が四苦八苦しているところも興味深かった。

ただし、まだこの物語は終っていない。ネタバレになってしまうので、詳しくはかけないが、まだ半分くらいしか決着はついていないし、大体彼らはこれからどうやっていくつもりで、この事件をどうやって作者は解決するのか、見当もつかないところで終ってしまう。
これからどうなるのか?と大きな期待を抱かせておいて、続きはまだ出ていないらしい。
これからというところで、お預けにされてしまって、ちょっと悔しい。

小野さん、続きをお願いします。なるたけ早めで・・。


黄昏の岸 暁の天(そら)―十二国記〈上〉 黄昏の岸 暁の天(そら)―十二国記〈上〉
小野 不由美 (2001/05)
講談社

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黄昏の岸 暁の天(そら)―十二国記〈下〉 黄昏の岸 暁の天(そら)―十二国記〈下〉
小野 不由美 (2001/05)
講談社

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21:09 | 本の感想 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑

「ふたつめの月」

近藤史恵「ふたつめの月」(文藝春秋、2007年)

これもまたむつぞーさんのところで、感想を拝見して「シリーズ2作目が出てるんだ!」と知った1冊。
慌てて図書館で予約して、結構すばやく読めたかな?(出版されたのは、五月の終わり)

前作「賢者はベンチで思索する」(感想はこちらをどうぞ。)で、主人公九里子は、謎の老人「国枝」と出会う。
そして、気になっていることに道をつけてもらう・・。
その彼女も、めでたく望む仕事の正社員に!
ところが・・突然解雇になってしまう。

前回と同じく連作短編集。
今回は、九里子の恋愛も大きく描き出されていて、そちらのほうの展開も非常に気になるところ。
むつぞーさんも書かれていたように、第一の謎については、果たしてそれが可能かどうか?という点に疑問が残る。

個人的には、明日香ちゃんという子が出てくるところが好き。
恋の邪魔者なのだけれど・・・。最初から分かっているのに、どうして九里子は気付かないんだ〜!と思ってしまったけれど、そういう九里子のちょっと抜けている(?)お人よし(?)なところとかもいいなぁと思えた。「思い込んだらそればっかり」な感じがするところ、一人で悩みすぎてつぶれてしまそうなところが、心配にすらなる。
そうそう、九里子がつれている、二匹のわんさん、アンとトモも好きだなぁ。

かの老人はもう九里子の前に姿を現さないだろうか。
このシリーズは、まだ続きがあって欲しいけれど・・どうだろう。

いつも読後感は悪くないし、好きな作家さんなのだけれど、どこかはっきりしない部分が残されていて、そこが気になる。

ふたつめの月 ふたつめの月
近藤 史恵 (2007/05)
文藝春秋

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10:29 | 本の感想 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

ラスト・イニング

あさのあつこ「ラスト・イニング」(角川書店、2007年)
図書館にて。

ちょっとまえに本屋さんで見かけ、さらに、お友達のむつぞーさんのところで感想を拝見して、とてもとても気になっていた1冊。
なんてたって、かの「バッテリー」最終巻(外伝?)ですもの。

視点は瑞垣。
私もみーしゃさんも大好きな登場人物。
(チョウチンアンコウに似ているという顔だけはどうも・・だけど。笑)

これもまた激しくネタバレになってしまうため、詳しくはかけないけれど、あの試合の勝敗も書かれている。そして、それによって、瑞垣と門脇の進路がどういう風に変化してしまったかも。

瑞垣が本当に野球をやめてしまうのかという「その後」が語られるのは、ファンにとって、嬉しいような怖いような・・複雑な心境だった。
あの試合の勝敗が書かれているというのを知って、実は借りるのをやめようかと思った。知りたいけど、知りたくないというか・・それが案外あっさりと書かれていたことには拍子抜けしたけれど、読んでみて思ったのは、勝敗自体より、そこで何を得て、どのように精神状態が変わったか、またその結果が彼ら少年達(特に瑞垣)にどういった影響を及ぼすかってことなんだろう。


むつぞーさんも書かれているけれど、特に瑞垣の目線だからか、豪が印象的だ。努力や、精神的なものなどが、こんなにも瑞垣には伝わっていくのね。
格好いいなぁ。
野球少年たちは、本当にかっこいい!

あと、瑞垣から海音寺にかけた電話でのやり取りが・・笑った。
瑞垣妹がまた・・笑。


ラスト・イニング ラスト・イニング
あさの あつこ (2007/02)
角川グループパブリッシング

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十二国記〜図南の翼

小野不由美「十二国記〜図南の翼」(講談社X文庫、1996年)

出版社/著者からの内容紹介
恭国は、先王が斃(たお)れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。首都連檣(れんしょう)に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女(むすめ)は、王を選ぶ麒麟(きりん)に天意を諮(はか)るため、ついに蓬山(ほうざん)をめざす!珠晶、12歳の決断「恭国(このくに)を統べるのは、あたししかいない!!」



シリーズの中で、今のところ(「黄昏の岸、暁の天」まで読んだ時点)この物語が最も好きだ。
なんといっても、生きがいいお嬢さん、珠晶が好きなのだ。
元気が良くて、頭もよくて、でもまだ子供で。

12歳の子供が、「王様になる」と長旅を一人きりで続け、しかも妖魔が跋扈する場所(黄海)を越えていくつもりだ・・と聞いたらどうするだろうか。もちろん、止める。でも、じゃあ大人であるあなたが王になるべくその道をいってくれるか?と問われて、答えられるだろうか。
王がいないこと=天候不順(作物も実らない)、妖魔が増える(人が殺される)・・という世界なのだ。
お金があれば、妖魔から身を守ることも出来る。浮民という奴隷のような存在の階層の人間をこきつかい、安楽に暮らすことが出来る。
お金さえあれば食べたくなくても美味しい食べ物がわんさか出てくる。
だけど、それらは何かおかしい。それを正すにはどうしたらいいの?
その答えは、「誰もがならないのならば、あたしが王様になる」。
いや、王になることだけが目的ではない。そういう心意気をみせることが、国民の義務だと珠晶は思ったのだ。

その無鉄砲とも思える旅を助ける羽目になったのが(という言い方がぴったり。笑)黄海で狩をして妖魔を手懐ける仕事をしている頑丘。
彼のすることにお嬢さんらしくいちいち反発してしまう珠晶だけど、その真意をさとった辺りからは、もう本当にパワフルで、子供とは思えない。また謎の登場人物の存在も大きいし、シリーズ前のほうにでてくるあるキャラも思いがけない形で出てくるし。
きらきら輝く冒険物語だ。

因みに「風の万里 黎明の空」にもちょこっと・・・笑。

珠晶が、最後に(エピローグのようなところでは、謎の人物のことが書かれるが、その前)怒鳴った一言がふるってる。

図南の翼―十二国記 図南の翼―十二国記
小野 不由美 (1996/02)
講談社

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十二国記〜風の万里 黎明の空

小野不由美「十二国記〜風の万里 黎明の空(上&下)」(講談社X文庫、1994年)

出版社/著者からの内容紹介
慶国(けいこく)に、玉座(ぎょくざ)に就(つ)きながらも、王たる己に逡巡(しゅんじゅん)し、忸怩(じくじ)たる思いに苦悩する陽子(ようこ)がいた。芳国(ほうこく)に、王と王后(おうごう)である父母を目前で殺され、公主(こうしゅ)の位を剥奪(はくだつ)されて哭(な)く祥瓊(しょうけい)がいた。そして、才国(さいこく)に、蓬莱(ほうらい)で親に捨てられ、虚海(きょかい)に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦業を強(し)いられ、蔑(さげず)まれて涙する鈴(すず)がいた。負うにはあまりある苦難(かなしみ)の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。その果てしない人生(たび)の門(いりぐち)が、いま開かれる!!



陽子はやはり悩んでいたのだなぁと思う。
シリーズ最初の「月の影 影の海(上下)」で王となることを決めたものの、そこに至るまでの間、景麒と暖かな信頼関係を築き上げるまでに至っていなかった。それがやはり響いたのかな。
また、「東の海神 西の滄海」の感想のところにも書いたけれど、王が変わったからと言って即座に国の仕組みが全て変わるものでもなく、特に官の中には王を飾りにしておいて、自分達が好きなように政治を運ぼうとするものもいる。即位後数十年(王になると仙になるため悪政をせぬかぎり不死となるので、長い。)はそういうことでごたごたするのが必須のようだ。
そして、このシリーズがうまく出来ているのは、最初に出ていた設定、「仙となれば、海客でも言葉に不自由しない」ことや、「だが、文字は読めない」という設定がここに生かされているということ。
だからこそ、海客である鈴は仙であることにしがみつき、故に主の寂しさを理解できぬままそのわがままに振り回される日々を送っているし、陽子は様々な書類が読めないため、苦しむ。
祥瓊は、父の悪政により、父母も豪奢な暮らしを失い、それを簡単に得た(と彼女は思う)海客である陽子をねたみ、与えられた立場を嫌って逃亡する。
鈴もまた主のもとから逃亡し、ただただ自分を不幸だとなげき続けるが、ある子供との出会いと別れが彼女に王である陽子への恨みをかきたてることになる。
陽子は、国の仕組みを学ぼうと野に下り、教えを請い、その中で、ある疑惑にでくわす。

そして三人の少女が出会う。

最初は、鼻持ちならない・・と思えていた祥瓊が、1番好きになった。
元気がよくて、パワフルで、女らしい。
また、陽子が格好いいじゃないか!!
それに強いし。
鈴は、不幸病を治してからは、一途でこれもまたすごい。
三人の成長と、陽子が王としてきちんと成り立つまでがうまく描かれ、中で出てくるほかのキャラもまたなんとも魅力的。
面白かった。
風の万里 黎明の空〈上〉 風の万里 黎明の空〈上〉
小野 不由美、山田 章博 他 (1994/07)
講談社

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風の万里 黎明の空(下) 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート 風の万里 黎明の空(下) 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
小野 不由美 (1994/09)
講談社

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十二国記〜東の海神 西の滄海

小野不由美「十二国記〜東の海神(わだつみ)西の滄海」

出版社/著者からの内容紹介
「国がほしいか?ならば、一国をお前にやる」これが、雁州国延王(えんしゅうこくえんおう)・尚隆(しょうりゅう)と、延麒(えんき)・六太(ろくた)とが交わした誓約(ちかい)だった。民らがかつての暴君によって廃墟となった雁国の再興を願い続けるなか、漸(ようや)く新王が玉座(ぎょくざ)に就いたのだ。それから20年をかけて、黒い土は大地にと、生まれかわりつつある。しかし、ともに幸福(やすらぎ)を探し求めたふたりのこどもの邂逅(めぐりあい)が、やがて、この国と麒麟(きりん)と民との運命を、怒濤(どとう)の渦に巻きこんでいく!!



何を書いても、ネタバレになってしまうそうなのだけれど・・・。

この十二国記(ホワイトハート版)の最初の2冊に出てくる慶国の陽子の物語の中に、登場する、くだけた王&麒麟・・その二人の出会いと信頼関係を構築していく間の物語。
時系列でいうと、この物語がシリーズの最初にあたるのかな。
陽子の物語の中で、500年の治世を迎えていた延王尚隆。
この物語の中では、まだ20年に満たない統治で、荒れていた大地に緑が戻ったという時期・・・・
他の物語の中でも描かれているが、王がきちんと王座につき、きちんとした政治を行えば、(このシリーズの中では)妖魔は減り、天候も安定し、土地は肥沃になる。が、王が変わったからと言って、それまでいた役人全てを罷免することはできない。即座に全てが好転するわけではない。そして、20年が過ぎ、やっと膿が出るべきときがきた・・そういう時期が舞台の物語だ。

延麒六太は、虚海の東にあるといわれる蓬莱(倭)で生まれ、そして捨てられた。同じ頃、はるか西の元州で生まれ同じく捨てられた子供がいた。彼はどうしたことか、妖魔に育てられ、そして二人はある夜、空の上で偶然出会い、六太は彼を更夜と名づける。
この出会いが原因して、六太は尚隆と離れ離れになり、国の存亡をかけた戦いが勃発する。

そこでの、尚隆の鮮やかなこと!
彼は、やはり王なのだと改めて思わされる。
このシリーズの中でも、特にファンが多いのではないだろうか。
王の心の中を、考えを見透かすことの出来るものは側近にもいない。が、彼を信じて従うことで、彼の意思はきっちり反映される。
情に篤く、厳しく、人心を掌握する王。
また、延麒である六太との信頼関係が深まっていく様も読み応えがある。

更夜が切ない・・が、きちんと救いはある。
あぁネタバレになっちゃうけど・・・このシリーズの後のほうでもそれをうかがい知ることが出来て嬉しい。
東の海神西の滄海 東の海神西の滄海
小野 不由美 (1994/06)
講談社

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k.m.p.のチェンマイアパート日記。

k.m.p(なかがわみどり&ムラマツエリコ)「チェンマイアパート日記。」(JTBパブリッシング、2007年)

k.m.p.とは、「かね、もーけ、プロジェクト」の略だそうで。
仲良しの、なかがわさんとムラマツさんの二人組みだ。
かねもーけと言っているけれど、あくまでも「好きなことでお仕事を作って生きていきましょ〜」という地道な活動だそうで、「もーかるはずがありません」だそうだ。
旅に出て、その様子をイラストを含めたエッセイにまとめたり、絵本を書いたり(「おかあさんとあたし」シリーズはよく本屋さんで見かける)、雑貨をつくったり、ちまちましたモノ作りをされているそうだ。

なんか面白そうだぞ。この二人組み。

そこで、借りてみたこの1冊。(図書館本)
チェンマイで、実際にアパートを借りて二人で一ヶ月暮らすことにした二人が、チェンマイ在住の知人&チェンマイ大好き友人を頼りに、アパートを探し、契約し、実際に住んだ日々を描いたエッセイだ。
読みやすい。
手書き文字も、写真も、イラストもあり、盛りだくさんなのに、しつこくないし、押し付けがましくない。それでいて、チェンマイのよさがひしひしと伝わってくる。
観光〜やショッピング〜という旅をしたい人には向いている本とはいえない。
なんというか、もっとたるたると日々を楽しむというような旅を好む人に向いていると思う。

二人で暮らすための取り決め(お手洗いに行くときの合図など)や、様々なトラブル(お風呂の水がどうしても漏れる)に対処するやり方が、とてものんきで、慌てたり激しく怒ったりってことが少なくて、淡々としているところもいい。

忙しくない旅エッセイ。

それにしても、美味しそうなものがどっさり出てきてお腹が減る・・・笑。
チェンマイ アパート日記。 チェンマイ アパート日記。
なかがわ みどり、ムラマツ エリコ 他 (2007/03/30)
JTBパブリッシング

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紅豚

森福都「紅豚」(徳間書店、2000年)

図書館にて。

中国蘇州郊外に裕福な地主の放蕩息子、紫子醇(さい・しじゅん)がいた。堅実で凡庸だが、妙に勘が鋭く、災害から財産を守ったことがある父、鉄杖(てつじょう)を頼りにしながらも、ちょっと物足りなく思う子醇・・そんな父が、祖父の死をきっかけに、子醇に持ちかけたのは思わぬことだった・・・十数年前から行方不明の叔父鉄余(てつよ)が巷を騒がす盗賊、青牛ではないか、またその叔父を探し出して祖父の遺産の隠し場所が書かれた絵巻物の謎を解かないと、裕福なはずの家が破産に追い込まれると。

のっけから、びっくりさせられ、引きこまれる。
行方不明の叔父さんが大盗人?!
でも、田舎での裕福な暮らしに倦んでいた主人公子醇は、そんな叔父さんをかっこい〜と思って探しにでかけるわけだ。
そして、そして思わぬ大冒険に巻き込まれ、父の祖父の秘密をしることに。

途中から、「こうかな?」って先が読める部分があるけれど、さすがに父、鉄杖の本性(?)が現れる部分には驚かされた。こんな形で?

荒唐無稽な部分もちょこちょこあって、中国の民話風の味をかもし出している。こういう物語がうまい作家さんだなぁと改めて思った。

紅豚 紅豚
森福 都 (2000/03)
徳間書店

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ハルさん

藤野恵美「ハルさん」(東京創元社、2007年)

以前から、気になっていた1冊。図書館にて。

全体に漂うのは、ゆるりとした感触だった。

一人娘のふうちゃんを男手一つで育ててきたハルさんは、人形作家。その愛娘ふうちゃんも、いよいよお嫁にいくことになって・・。
式場に向かうハルさんの脳裏に浮かぶのは、ふうちゃんがまだ幼かった頃からの様々な「ちょっとふしぎな」事件(?)。その謎はいつも、天国にいるふうちゃんのお母さんがふわっと解き明かしてハルさんに教えてくれていた・・そして、それらが結びつくふうちゃんとの思い出・・・。

粗筋を読んだ時点では、なんとなく読まずに避けちゃおうかなって思っていた。(泣いてしまうかな〜って思って。涙腺が弱いので・・笑)
けれど、なぜか、いろんなところで、この題名が眼に入り、感想が眼に留まる。シンプルな題名も気になる。

ミステリとしてはいわゆる「日常の謎」という部類だ。殺人事件はでてこない。でも、子供から大人まで、日常生活の中に、こんなにも不思議の種はあるんだなと思わされた。自分自身が大きくなる中で、もしかしたら、見過ごした「ミステリ」があったのかも?なんて気持ちにさせられる。
巻き起こされる騒動と、なんともあったかい気持ちにさせてくれる真相・・どれも秀逸だった。
ラストも可愛らしくやわらかくて、好みだった。
ただ、シリーズにはなりにくいだろうな。もっと読んでみたかったので、少し残念。

ハルさん ハルさん
藤野 恵美 (2007/02/28)
東京創元社

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天使たちの華劇

茅田砂胡「天使たちの華劇」(中央公論新社C.NOVELS、2004年)

「暁の天使たち」シリーズの外伝2。これでこのシリーズは一応終わりだそうで。

これは、本当に外伝らしい外伝。
しかも著者が最初に目指していた「学園もの」に近い(と思う)物語になっている。
収められているのは例のゾンビコンビ(だんだん、扱いがひどくなっている気もするけど。笑)ヴァンツァーとレティシア&金銀天使(ねずみともいう)リィ&シェラの「学園生活」。「目指せ一般市民!」をスローガンとしている四人なのだけれど・・・。

まず、ゾンビの片割れ、ヴァンツァーをメインに据えた「一般市民のすすめ」
素晴らしい出来の論文を不可とされてしまうヴァンツァー。が、その担当教授にはある趣味があり、それが嵩じてのことだった。それを知った天使たちが黙っているわけがない。
なにが、どこが、一般市民を目指しているのかな?笑

続いては寮対抗のアクション・ロッド(このシリーズの中で出てくる競技。)の大会を描く「常識の問題」。黒ねずみの暴走を食い止めた直後で、パワー不足のリィは、寮長で代表選手のキャプテンであるハンスにうっかり(ここ重要)勝ってしまい、代表になれとつきまとわれることに。
参加することは出来ないのをしっかり見せ付けた上で、天使たちはハンスを鍛えると共に、ライバル寮へのある計画を立てる・・・。
あぁこの金銀天使&ゾンビコンビは、敵に回したくない。
彼らの「常識」って・・・・。

リィ&シェラの学園祭での出来事を描いた「ヴァレンタイン卿の災難」。
リィの過去もちょこっと語られる。
っていうか・・・リィ&シェラってば、そんな・・メイド服っすか!
(詳しくは中身&この本の表紙をごらんあれ)
それにしても、面白いキャラがいっぱい・・・。
リィの「俺を産んでくれたひと」であるマーガレットもかなり好みの性格だわ。ジンジャーもいいなぁ。この女性陣の中で性格面では、ジャスミンが普通に見えてしまうのが怖い・・・。

そして、私が最も好きだったのは・・シェラの技術が炸裂する「趣味の時間」。
いわゆるお裁縫の大会で、シェラが、あの懐かしい衣装を作成することになるのだ。
そしてあのヒトが復活する。
シェラの一言「またお会いできるとは思いませんでした」に集約される。


天使たちの華劇―暁の天使たち 外伝〈2〉 天使たちの華劇―暁の天使たち 外伝〈2〉
茅田 砂胡 (2004/07/25)
中央公論新社

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舞闘会の華麗なる終演

茅田砂胡「舞闘会の華麗なる終演」(中央公論新社〜C.NOVELS、2004年)

図書館でも借りたけれど、お友達からも借りた1冊。

以前から感想に載せている茅田砂胡さんの「暁の天使たち」シリーズの一応「外伝」らしい。が、前回の「天使の舞闘会」で、おさまりきっていなかった部分のおさまり方(?)を描いた1冊。
これは、いくら外伝でも前作を読んでいないと訳が解らないはず。
その「ルゥ暴走事件」の終結を描いた「嵐の後」と、さらに、ダンの息子であるジェムが母親(=ルゥ!)を探しに行くと宣言する「宇宙一不幸な男」の二篇が収められている。

前回書いた感想で、暴走しまくっていた黒天使さま(もしくは、黒ねずみ・・ルゥ)を身を挺して止めた金色天使(同じく金ネズミ・・リィ)だった。が、彼ら二人が「止まる」ということは、肉体的にかなり「停止」に近い状態。そんな状態に彼らが(今回の場合は、連動しているので、二人とも機能停止状態)陥った場合に限り、パワーを発するのが、銀色天使(・・はい、銀ネズミ・・シェラ)である。
他の二人(レティシアとヴァンツァー)も手伝い、機能停止の二人を抱えて、致命的な損害を受けている船から脱出せねばならない。
そこへ立ちはだかる「悪しきもの」たち。
さらに、ようやく脱出したシェラたちが、度肝を抜かれることをリィがやってのける。

内容より抜粋
「猪を煮ているといわれたのなら驚かなかった。蛇でもとかげでも百歩譲って芋虫でも驚かなかっただろうが、よりにもよって」
(このあとに、リィが作っていたものが書かれているわけだけれど、それは読んでのお楽しみ)

「宇宙一不幸な男」に関しては、とにかく化物ぞろいの中で、唯一普通(?)の人間男性である(なんかこの言い方おかしいけど)ダンの心情がよ〜〜〜く分かる一篇。
しかしねぇ、ジェム、私は君が苦手だよ。

舞闘会の華麗なる終演―暁の天使たち 外伝〈1〉 C・NOVELSファンタジア 舞闘会の華麗なる終演―暁の天使たち 外伝〈1〉 C・NOVELSファンタジア
茅田 砂胡 (2004/03/25)
中央公論新社

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塩の街

有川浩「塩の街」(電撃文庫、2004年・・借りたのは、2006年7刷版)

図書館にて。
有川さんの「図書館戦争」シリーズがすっかり気に入って、以前の著作もさかのぼって読んでいた。そして、ついにこの「塩の街」を。
第十回電撃ゲーム小説大賞受賞作だそうだ。

塩が世界を飲み込もうとしている世界の中、次々にヒトも塩に侵されていく。そんな中で、一人取り残された少女と、彼女を庇護する男。
二人の前を通り過ぎる男達、そして彼女と彼の出会いが語られ、二人の関係が少しずつ変化しようとしていた。そこへ、出現した男が「世界とか、救ってみたいと思わない?」と囁き、二人の、世界の運命を変えていく・・・。

異常事態(緊急事態)下での出会い、触れあい、緊張関係、恋愛関係・・・。軍隊(自衛隊や警察)の計画、規律の中での人間たち。
さらに、そういったぎりぎりの中でも、人間性を失わない男たち、凛とした女達。そういったものを描かせると非常にうまい作家さんだと思う。
そのエッセンスが、このデビュー作(だと思う)にもちりばめられている。
ヒトの気持ちを慮るということを、強く意識させる作家さんでもある。
そして、ベタ甘な恋愛物を楽しく、きゅうきゅうさせながら読ませる作家さんでもあると再認識。
面白かった。


塩の街―wish on my precious 塩の街―wish on my precious
有川 浩 (2004/02)
メディアワークス

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快方へ

前回の日記(サクラの眼のこと)を書いた翌日に、お薬の都合もあって動物病院へ連れて行った。
結果、やっぱり出来物は小さくなりつつあったし、炎症も治まっている!
やったぁ〜!
ステロイドの大量投与は回避されたようだ。

前回と同じお薬(消炎剤、抗生物質、整腸剤)を頂いて帰る(塗り薬はまだある)。五日分頂いて、これが終ってからも様子を見て、二週間後につれてくるように・・とのことだった。
そのお薬も、明日まででおしまい。今現在、出来物は殆ど目立たないし、赤みもない。
痒みは、まだ時々あるかな?って思えるけど・・・掻く回数は減ったように思う。
良かった。
やはり、暑くなる時期は、サクラにとって鬼門のようだ。

それにしても、良かった。
20:58 | 愛犬さくら | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑