「ひょうたん」
宇江佐真理「ひょうたん」(光文社、2005年)
久しぶりに宇江佐さんの本を読む。
あぁ懐かしい。この感じ。人情味溢れるこの雰囲気。花のお江戸の下町で暮らす市井の人々の話。
古道具屋「鳳来堂」を営む音松とお鈴夫婦。古道具・・といっても骨董ではなく、正真正銘古道具を扱う店、中古の鍋釜や家具が置いてある店だが、生活を整えるために意外と重宝され夫婦二人が食べていくに足るかせぎもある。先代まではきちんとした店だったのだが、息子だった音松のせいで一度はかなり落ちぶれたのだが、お鈴との結婚で奮起し今に至る・・という経緯もある。
主人公はお鈴。お人よしで、友達思いで(毎晩のように友人が飲みにくる)ちょっと怠け者の音松のしりをたたいてテキパキ働き、お料理上手のしっかりものだ。
そんな二人の店には、食い詰め浪人や、騙りの兄弟、思いがけない名品などなどがやってくる。あったかく、自分たちの姿勢を崩さずにくるんでやる夫婦の物語。悲しい結末もあるけれど、温かみがある人情話の連続短編小説集だった。また、所々に入る、お鈴がこしらえるおかずが、おいしそうで、楽しい。
織部の茶碗:思いがけない織部が手に入る音松。親としての姿がしゃんとして格好いい。
ひょうたん:身投げしようとした男を拾ってきた音松、その男夏太郎は、仕事を明らかにしないが何かの職人らしい。お鈴が貰ったひょうたん、楽しい。途中に出てくる子供の心がいい。
そぼろ助広:食い詰め浪人から預かった刀は名刀だった。音松の優しさ、正直さが光る。
びいどろ玉簪:騙りの兄弟がやってきた。ころりとだまされたお鈴だったが・・可哀想。
招き猫:音松の兄のところ(きちんとした骨董商)に奉公に出ていたお鈴たちの子供長五郎が帰ってきた。難癖つけられての帰宅だ。甥である長五郎を可愛がり養子にして店をつがせようとまで言っていたのに・・。長五郎の言葉にすっとする。
貧乏徳利:瓦職人と名乗る男が自作の徳利を売り込みに来た。
確かに使い勝手が良さそうだ。おりしも面白いお猪口も手に入り、お花見に行きたい音松。が仲良しの友人はみな多忙だ。が・・この短編集のラストを飾るにふさわしい穏やかな一作。
久しぶりに宇江佐さんの本を読む。
あぁ懐かしい。この感じ。人情味溢れるこの雰囲気。花のお江戸の下町で暮らす市井の人々の話。
古道具屋「鳳来堂」を営む音松とお鈴夫婦。古道具・・といっても骨董ではなく、正真正銘古道具を扱う店、中古の鍋釜や家具が置いてある店だが、生活を整えるために意外と重宝され夫婦二人が食べていくに足るかせぎもある。先代まではきちんとした店だったのだが、息子だった音松のせいで一度はかなり落ちぶれたのだが、お鈴との結婚で奮起し今に至る・・という経緯もある。
主人公はお鈴。お人よしで、友達思いで(毎晩のように友人が飲みにくる)ちょっと怠け者の音松のしりをたたいてテキパキ働き、お料理上手のしっかりものだ。
そんな二人の店には、食い詰め浪人や、騙りの兄弟、思いがけない名品などなどがやってくる。あったかく、自分たちの姿勢を崩さずにくるんでやる夫婦の物語。悲しい結末もあるけれど、温かみがある人情話の連続短編小説集だった。また、所々に入る、お鈴がこしらえるおかずが、おいしそうで、楽しい。
織部の茶碗:思いがけない織部が手に入る音松。親としての姿がしゃんとして格好いい。
ひょうたん:身投げしようとした男を拾ってきた音松、その男夏太郎は、仕事を明らかにしないが何かの職人らしい。お鈴が貰ったひょうたん、楽しい。途中に出てくる子供の心がいい。
そぼろ助広:食い詰め浪人から預かった刀は名刀だった。音松の優しさ、正直さが光る。
びいどろ玉簪:騙りの兄弟がやってきた。ころりとだまされたお鈴だったが・・可哀想。
招き猫:音松の兄のところ(きちんとした骨董商)に奉公に出ていたお鈴たちの子供長五郎が帰ってきた。難癖つけられての帰宅だ。甥である長五郎を可愛がり養子にして店をつがせようとまで言っていたのに・・。長五郎の言葉にすっとする。
貧乏徳利:瓦職人と名乗る男が自作の徳利を売り込みに来た。
確かに使い勝手が良さそうだ。おりしも面白いお猪口も手に入り、お花見に行きたい音松。が仲良しの友人はみな多忙だ。が・・この短編集のラストを飾るにふさわしい穏やかな一作。
![]() | ひょうたん 宇江佐 真理 (2005/11/19) 光文社 この商品の詳細を見る |
誕生日でした
昨日は、誕生日だった。
&ゴミゼロの日。みなさん、清掃活動されましたか?笑。
日曜にメガネさんとお祝いの宴(でも二人と一匹)を催し、ケーキを
食べた。ということで、当日は、ケーキはなし。
でも豆乳ブラマンジェというのを購入してきたので、デザートはアリ。
鯛めしとか、鳥の香味和えとか、トマト&ズッキーニ&ピーマン&パプリカのスープとか、自分の好きなものばっかり作った。
友人、知人から花束やお花のアレンジメント、ジャムのプレゼント、カード、メール、電話などなどが届いた。思っていた以上に皆が覚えておいてくれて、すごくすごくすごく嬉しかった。
母からは、手編みのレースのテーブル敷き。これは、ずっと編むところを横でみていて、苦労していたのを知っていたので、びっくりしたし、感動した。まさか私のために編んでくれているとは思いもかけなかったのだ。
我が家の八角形のテーブルは大きい上に、形が変わっているのもあってテーブルクロスに苦労する。でも、愛着もあるし、格好良くて大好きなテーブル。なので、そこに敷くレースは、嬉しい贈り物だった。
贈り物やお祝いの言葉ってその人の心を貰うんだなぁと改めて思う。
サイトにもお祝いメッセージを書き込んでいただいて、とても嬉しく思っている。本当に、みなさん、有難う。
これからも仲良くしてくださいね〜!!!!
お誕生日は幾つになっても嬉しい。
・・と思いながら、実は自分の年齢がぱっと思い出せなくなった。
なんというか、自分がもうこんな年って言う実感がない。
だから、今年と自分の生まれた年を思い浮かべて、計算して、やっと「ああ○○才だ」と思う。再確認。なんどもしているのに、やっぱり身につかない。
もう学生じゃなくなって随分経つのだけれど、学生の間はちゃんと自分の年を意識していたと思う。
学年とか年とか。今はさすがに生年月日や今年が何年かは大丈夫だけれど、卒業して何年とか、自分が何歳とかそういうのがぱっと出てこない。
老化?
いや、意識していないからだと思いたい。笑。
&ゴミゼロの日。みなさん、清掃活動されましたか?笑。
日曜にメガネさんとお祝いの宴(でも二人と一匹)を催し、ケーキを
食べた。ということで、当日は、ケーキはなし。
でも豆乳ブラマンジェというのを購入してきたので、デザートはアリ。
鯛めしとか、鳥の香味和えとか、トマト&ズッキーニ&ピーマン&パプリカのスープとか、自分の好きなものばっかり作った。
友人、知人から花束やお花のアレンジメント、ジャムのプレゼント、カード、メール、電話などなどが届いた。思っていた以上に皆が覚えておいてくれて、すごくすごくすごく嬉しかった。
母からは、手編みのレースのテーブル敷き。これは、ずっと編むところを横でみていて、苦労していたのを知っていたので、びっくりしたし、感動した。まさか私のために編んでくれているとは思いもかけなかったのだ。
我が家の八角形のテーブルは大きい上に、形が変わっているのもあってテーブルクロスに苦労する。でも、愛着もあるし、格好良くて大好きなテーブル。なので、そこに敷くレースは、嬉しい贈り物だった。
贈り物やお祝いの言葉ってその人の心を貰うんだなぁと改めて思う。
サイトにもお祝いメッセージを書き込んでいただいて、とても嬉しく思っている。本当に、みなさん、有難う。
これからも仲良くしてくださいね〜!!!!
お誕生日は幾つになっても嬉しい。
・・と思いながら、実は自分の年齢がぱっと思い出せなくなった。
なんというか、自分がもうこんな年って言う実感がない。
だから、今年と自分の生まれた年を思い浮かべて、計算して、やっと「ああ○○才だ」と思う。再確認。なんどもしているのに、やっぱり身につかない。
もう学生じゃなくなって随分経つのだけれど、学生の間はちゃんと自分の年を意識していたと思う。
学年とか年とか。今はさすがに生年月日や今年が何年かは大丈夫だけれど、卒業して何年とか、自分が何歳とかそういうのがぱっと出てこない。
老化?
いや、意識していないからだと思いたい。笑。
サイトについてのお知らせなど
サイト内を色々いじくり中。
「本棚」の更新をずっと怠っており、こちらの日記にばかり感想を載せていたため、いつの感想まで載せたのかすら思い出せない。
少しずつでもいいから、過去の日記から本棚に感想を移して行きたいと思っている。
というわけで、とりあえず、今年読んだ本だけでも追いつけるようにがんばるつもり。
今まではそういう「まとめ」更新もMENUに載せていたけれど、こちらの日記に一度は載せたものばかりなので、今後は、特にMENUに書かずにいこうと思う。あくまでも過去の感想の置き場として、「本棚」を活用させたい。
更に、ずっとMENUのアイコンが写真だけだったのだけれど(マウスで触れると内容が出るようにはしていたけれど)文字を入れてみた。
どうも・・・今は邪魔くさい気がする・・・。
でも初めて見る方には、このほうが親切?
しばらくやってみて違和感があるようなら元に戻すつもり。
この日記でも、先日、初めてアマゾンの画像を取り込むようにしてみたのだけれど、その数日後もっと簡単に出来るように(この日記を借りているFC2のシステムそのものが)変わった。それに伴って、下に出ていた「アマゾンで購入する」というどうにも気に入らなかったボタンが消えるようになった。嬉しい。
あと、「本棚」に「感想サイトの管理人さんに50の質問」と「読書する人生に50の質問」「2005年ベスト本10冊」を載せた。
「質問」は100の質問の方はおいたままで、50の方ばかり・・・というのも、100の質問の60問以降がどうも答えにくいものばかりでなかなか進まないのだ。空欄ばかりというのも情けないし・・・。
50の質問にもなかなか難しい問題がある。「好きな作家さんは?」という基本的な質問がすごく難しい。多すぎるし趣味に一貫性がないから・・。
ベスト本は、載せる載せるといいながら、ずるずると今年も半ば前に・・・記憶も薄れてきているのか、読んだ当初と印象が異なった本もあった。また、あくまでもこの日記に感想を載せたものの中から選んだため、「他にもあるような・・」という思いが抜けない。
今後していきたいこととしては、最初にあげた「本棚」の更新と、BBSアイコンの変更、この日記のテンプレート変更だろうか。
そうそう、先日から実家にある絵本のリストつくりをしている。この日記と同じようなブログ形式で、ひたすら題名を載せているだけ(時々ちょこっと感想つき)で、しかもパスワード制。妹と私だけの覚書のようなものだけれど、いつか遠い先にでも、自分のサイトにリンクをはれればいいなぁなんて思っている。
「本棚」の更新をずっと怠っており、こちらの日記にばかり感想を載せていたため、いつの感想まで載せたのかすら思い出せない。
少しずつでもいいから、過去の日記から本棚に感想を移して行きたいと思っている。
というわけで、とりあえず、今年読んだ本だけでも追いつけるようにがんばるつもり。
今まではそういう「まとめ」更新もMENUに載せていたけれど、こちらの日記に一度は載せたものばかりなので、今後は、特にMENUに書かずにいこうと思う。あくまでも過去の感想の置き場として、「本棚」を活用させたい。
更に、ずっとMENUのアイコンが写真だけだったのだけれど(マウスで触れると内容が出るようにはしていたけれど)文字を入れてみた。
どうも・・・今は邪魔くさい気がする・・・。
でも初めて見る方には、このほうが親切?
しばらくやってみて違和感があるようなら元に戻すつもり。
この日記でも、先日、初めてアマゾンの画像を取り込むようにしてみたのだけれど、その数日後もっと簡単に出来るように(この日記を借りているFC2のシステムそのものが)変わった。それに伴って、下に出ていた「アマゾンで購入する」というどうにも気に入らなかったボタンが消えるようになった。嬉しい。
あと、「本棚」に「感想サイトの管理人さんに50の質問」と「読書する人生に50の質問」「2005年ベスト本10冊」を載せた。
「質問」は100の質問の方はおいたままで、50の方ばかり・・・というのも、100の質問の60問以降がどうも答えにくいものばかりでなかなか進まないのだ。空欄ばかりというのも情けないし・・・。
50の質問にもなかなか難しい問題がある。「好きな作家さんは?」という基本的な質問がすごく難しい。多すぎるし趣味に一貫性がないから・・。
ベスト本は、載せる載せるといいながら、ずるずると今年も半ば前に・・・記憶も薄れてきているのか、読んだ当初と印象が異なった本もあった。また、あくまでもこの日記に感想を載せたものの中から選んだため、「他にもあるような・・」という思いが抜けない。
今後していきたいこととしては、最初にあげた「本棚」の更新と、BBSアイコンの変更、この日記のテンプレート変更だろうか。
そうそう、先日から実家にある絵本のリストつくりをしている。この日記と同じようなブログ形式で、ひたすら題名を載せているだけ(時々ちょこっと感想つき)で、しかもパスワード制。妹と私だけの覚書のようなものだけれど、いつか遠い先にでも、自分のサイトにリンクをはれればいいなぁなんて思っている。
「ザ・チーム」
井上夢人「The TEAM」(集英社、2006年)
図書館で見つけて、何の気なしに借りた1冊だったけれど、思いのほか面白く、一気に読んでしまった。
霊能力者能代あや子、彼女の霊視は非常によくあたる。悪意から仕掛けられた罠もするりとかわす、その霊能力は本物か?
実は、嘘。演技なのだ。彼女の周りには、凄腕の調査陣チームがついている。尾行&特殊な技術を使っての家捜し(犯罪・・・・)を請け負う草壁賢一、パソコンを使った調査&罠なら(これまた犯罪・・)お手の物の藍沢悠美、そして能代あや子のマネージャー兼チームの表の顔である事務所の社長、鳴滝昇治。この三人+能代のチームで作り上げたのが「霊能力者能代あや子」なのだ。
チームの活躍と撤収までを描いた8つの連続短編集。
招霊:合成の心霊写真で能代あやこを陥れようとする記者&化学で証明できないものを忌み嫌う男。その男の妹は数年前に自殺していた・・・ところが。思いがけない犯罪が暴かれる。
金縛:毎日金縛りにあうという女性の相談を受ける。チームの一員悠美の特殊技能が開花するきっかけとなった過去の事件も同時に語られ、思いがけない結末を。
目隠鬼:キツネが取り付いているのでは?という女性の相談。ところが、その女性には住民票も戸籍もないのだ。女性の過去に何があったのか。能代あや子の最後の言葉が印象的。
隠蓑:あや子自身の霊視の結果旅行にでた女性が死んだという。それを受けて、「招霊」にも出た記者が再びあや子に挑む。記者の家族の不和まで救うあや子。
雨虎:自宅の地下から声がするという相談。なんとそれにはひどい犯罪が絡んでいた。
寄生木:息子のことを心配して相談にやってきた女性がなんと自殺してしまう。ところが、調査するにつれ、彼女がやっていた内職(薬の瓶詰め)がどうも怪しいことがわかっていく。母が命をかけて守ったものは・・。
潮合:あや子の過去をしる男が持ち込んだビデオには、依頼者の家に忍び込んで調査する賢一の姿が映っていた。チームの大ピンチ。鳴滝の過去も一緒に語られる。
陽炎:「潮合」で出てきたビデオが再び登場する。なんと「招霊」から幾度となく絡んできた記者の手にそれが入ったのだ。
が、鮮やかなチームの引き際。かっこういい。記者の妻の「被害者は誰もいない」との言葉が残る。
なんというか、時代劇の「必殺仕事人」とか「仕掛け人」とかのようだった。ドラマとかにもしたら面白そう。チーム自体も犯罪者ではあるのだけれど、勧善懲悪もので、すっきりする。
図書館で見つけて、何の気なしに借りた1冊だったけれど、思いのほか面白く、一気に読んでしまった。
霊能力者能代あや子、彼女の霊視は非常によくあたる。悪意から仕掛けられた罠もするりとかわす、その霊能力は本物か?
実は、嘘。演技なのだ。彼女の周りには、凄腕の調査陣チームがついている。尾行&特殊な技術を使っての家捜し(犯罪・・・・)を請け負う草壁賢一、パソコンを使った調査&罠なら(これまた犯罪・・)お手の物の藍沢悠美、そして能代あや子のマネージャー兼チームの表の顔である事務所の社長、鳴滝昇治。この三人+能代のチームで作り上げたのが「霊能力者能代あや子」なのだ。
チームの活躍と撤収までを描いた8つの連続短編集。
招霊:合成の心霊写真で能代あやこを陥れようとする記者&化学で証明できないものを忌み嫌う男。その男の妹は数年前に自殺していた・・・ところが。思いがけない犯罪が暴かれる。
金縛:毎日金縛りにあうという女性の相談を受ける。チームの一員悠美の特殊技能が開花するきっかけとなった過去の事件も同時に語られ、思いがけない結末を。
目隠鬼:キツネが取り付いているのでは?という女性の相談。ところが、その女性には住民票も戸籍もないのだ。女性の過去に何があったのか。能代あや子の最後の言葉が印象的。
隠蓑:あや子自身の霊視の結果旅行にでた女性が死んだという。それを受けて、「招霊」にも出た記者が再びあや子に挑む。記者の家族の不和まで救うあや子。
雨虎:自宅の地下から声がするという相談。なんとそれにはひどい犯罪が絡んでいた。
寄生木:息子のことを心配して相談にやってきた女性がなんと自殺してしまう。ところが、調査するにつれ、彼女がやっていた内職(薬の瓶詰め)がどうも怪しいことがわかっていく。母が命をかけて守ったものは・・。
潮合:あや子の過去をしる男が持ち込んだビデオには、依頼者の家に忍び込んで調査する賢一の姿が映っていた。チームの大ピンチ。鳴滝の過去も一緒に語られる。
陽炎:「潮合」で出てきたビデオが再び登場する。なんと「招霊」から幾度となく絡んできた記者の手にそれが入ったのだ。
が、鮮やかなチームの引き際。かっこういい。記者の妻の「被害者は誰もいない」との言葉が残る。
なんというか、時代劇の「必殺仕事人」とか「仕掛け人」とかのようだった。ドラマとかにもしたら面白そう。チーム自体も犯罪者ではあるのだけれど、勧善懲悪もので、すっきりする。
![]() | the TEAM 井上 夢人 (2006/01) 集英社 この商品の詳細を見る |
「オアシス」
生田紗代「オアシス」(河出書房新社、2003年)
図書館にて。
装丁がなんとなく気に入って、ぱらりとめくってなんとなく借りた1冊。
でも・・・どこかでこの設定を読んだ気がする。
家事放棄した母、姉妹二人が分担して家事をしている・・・。でも、途中のエピソードや、ラストの部分は記憶にないような・・。
結局最後まで、既読の本か判らないままだった。この本読んだのかなぁ・・。(ここの日記や本棚には読んだ本全ての感想を載せているわけではないため、ますますやっかい)大抵の既読の本は、(最初は忘れていても)必ず気付く私なのだけれど、釈然としない。
まぁそれは置いておいて。
姉妹の会話が面白い。ただ、言葉遣いが悪すぎるところや、家事放棄している母のことを粗大ゴミと呼ぶところなどは、やっぱりちょっと気になる。(別に優等生的な意見で言うのではなく。)
ひとつひとつのエピソードは生き生きとしているのに、それがつながらない感じ。また、自転車のエピソードも案外さらっと流されたようなので、その元の持ち主とのこととかがあるといいなぁと思った。(もしかすると、何かの続編?あとで調べてみねば。)
全体的に読み終えた後、まとまりがないなぁと感じた。あせって「這い終わり」ってしちゃったような。きちんと終わりがなくてもいいから、もうちょっと丁寧にまとめても良かったように思う。
とはいえ、設定にはすごくインパクトがあるし、勢いがあって、若々しい小説だった。
図書館にて。
装丁がなんとなく気に入って、ぱらりとめくってなんとなく借りた1冊。
でも・・・どこかでこの設定を読んだ気がする。
家事放棄した母、姉妹二人が分担して家事をしている・・・。でも、途中のエピソードや、ラストの部分は記憶にないような・・。
結局最後まで、既読の本か判らないままだった。この本読んだのかなぁ・・。(ここの日記や本棚には読んだ本全ての感想を載せているわけではないため、ますますやっかい)大抵の既読の本は、(最初は忘れていても)必ず気付く私なのだけれど、釈然としない。
まぁそれは置いておいて。
姉妹の会話が面白い。ただ、言葉遣いが悪すぎるところや、家事放棄している母のことを粗大ゴミと呼ぶところなどは、やっぱりちょっと気になる。(別に優等生的な意見で言うのではなく。)
ひとつひとつのエピソードは生き生きとしているのに、それがつながらない感じ。また、自転車のエピソードも案外さらっと流されたようなので、その元の持ち主とのこととかがあるといいなぁと思った。(もしかすると、何かの続編?あとで調べてみねば。)
全体的に読み終えた後、まとまりがないなぁと感じた。あせって「這い終わり」ってしちゃったような。きちんと終わりがなくてもいいから、もうちょっと丁寧にまとめても良かったように思う。
とはいえ、設定にはすごくインパクトがあるし、勢いがあって、若々しい小説だった。
![]() | オアシス 生田 紗代 (2003/11/22) 河出書房新社 この商品の詳細を見る |
「イン・ザ・プール」「ホームタウン」
奥田英朗「イン・ザ・プール」(文藝春秋、2002年)
図書館にて。前々から様々な読書サイトさんで感想を拝見しており、気にはなっていた1冊。
まぁなんと・・笑える。様々な心の病を抱えた人々を破天荒な精神科医伊良部先生が癒していくという連作短編集なのだけれど。とにかくこの伊良部先生がすごくおかしい。めちゃくちゃな治療ばかり。それでも、時折ふっといい言葉を投げかける伊良部先生。漫画を読んでいるようにさ〜っと読めてしまう。普段本をあまり読まないっていう人にもお勧めできそう。
小路幸也「ホームタウン」(幻冬舎、2005年)
図書館にて。
たまたまだけれど、これも青い表紙で、一緒に借りた「イン・ザ・プール」と並べて置くと綺麗。(笑)中身はぜんぜん異なるんだけれど。
札幌でデパートの探偵として働く主人公柾人。彼には家族をめぐる暗く壮絶な過去があった。そして、彼にとって唯一の肉親である妹、木実がいる。彼らはその過去ゆえに、離れて暮らし、もう何年も会っていない。そんな征人の下に、木実から結婚すると手紙が届く。婚約者は彼女の過去も全て受け止めてくれていると・・。過去と向き合い新たな家族を作ろうとしていると妹の気持ちを受け止めてやろうと思っていた、そんな矢先に、木実が失踪したとの知らせがある。調査を始める征人。ところが、木実の婚約者も失踪しているとわかる・・二人の失踪時期が異なり、謎は深まっていく。
スピード感があり、また起こっていく事柄が興味深い。でも、全ての謎が解けたとき、ひとつひとつのつながりが薄く感じた。出てくるキャラクターがなかなか魅力的(一匹狼的な柾人だけれど、そこここに頼りにしている年長者がいて、彼らがいい)で、特に柾人の下宿先のばあちゃんや、上司であるカクさん、元やくざの草場さん。この作家さんの本は初めて読んだけれど、続けて読んでみたい。
図書館にて。前々から様々な読書サイトさんで感想を拝見しており、気にはなっていた1冊。
まぁなんと・・笑える。様々な心の病を抱えた人々を破天荒な精神科医伊良部先生が癒していくという連作短編集なのだけれど。とにかくこの伊良部先生がすごくおかしい。めちゃくちゃな治療ばかり。それでも、時折ふっといい言葉を投げかける伊良部先生。漫画を読んでいるようにさ〜っと読めてしまう。普段本をあまり読まないっていう人にもお勧めできそう。
小路幸也「ホームタウン」(幻冬舎、2005年)
図書館にて。
たまたまだけれど、これも青い表紙で、一緒に借りた「イン・ザ・プール」と並べて置くと綺麗。(笑)中身はぜんぜん異なるんだけれど。
札幌でデパートの探偵として働く主人公柾人。彼には家族をめぐる暗く壮絶な過去があった。そして、彼にとって唯一の肉親である妹、木実がいる。彼らはその過去ゆえに、離れて暮らし、もう何年も会っていない。そんな征人の下に、木実から結婚すると手紙が届く。婚約者は彼女の過去も全て受け止めてくれていると・・。過去と向き合い新たな家族を作ろうとしていると妹の気持ちを受け止めてやろうと思っていた、そんな矢先に、木実が失踪したとの知らせがある。調査を始める征人。ところが、木実の婚約者も失踪しているとわかる・・二人の失踪時期が異なり、謎は深まっていく。
スピード感があり、また起こっていく事柄が興味深い。でも、全ての謎が解けたとき、ひとつひとつのつながりが薄く感じた。出てくるキャラクターがなかなか魅力的(一匹狼的な柾人だけれど、そこここに頼りにしている年長者がいて、彼らがいい)で、特に柾人の下宿先のばあちゃんや、上司であるカクさん、元やくざの草場さん。この作家さんの本は初めて読んだけれど、続けて読んでみたい。
卵と小麦粉それからマドレーヌ
石井睦美「卵と小麦粉それからマドレーヌ」(BL出版、2001年):図書館にて。
ここのところ、毎日のように拝見しているブログさんがある。そちらでの感想が「これは好みっぽい」とアンテナにひっかかり、借りた1冊。
予想にたがわぬ、私好みの1冊だった。児童書のところにあったのが意外。また、そのブログさんで紹介されていたものとは、装丁などが若干異なり、アマゾンで検索したら、文庫も出ているらしく、そちらは挿絵が違うみたい。(私が読んだものは、ハードカバーで長新太さんの挿絵つき)文庫版の表紙も可愛らしくてお勧め。
中学生になったばかりの菜穂は、前の席になった亜矢から「もう子供じゃないって思ったときっていつだった?」と質問される。その質問とっぴに思えたけれど、菜穂以外の人の前での亜矢は普通の少女だ。そして、亜矢と菜穂は親友になる。そんな中、菜穂の13歳の誕生日がやってきた。菜穂の母は、お菓子つくりお料理つくりが得意な専業主婦なのだが、その母からとんでもない大宣言が誕生日の夜になされる。
もう子供じゃない、でも大人でもない、微妙な年頃の少女が、ぐぐっと階段を登ってく様子を描いた物語。亜矢、菜穂、そして菜穂のもう一人の友人、まゆ子、三人の少女がとても魅力的に描き出されている。よい友達に恵まれている菜穂、きっと三人とも素敵な女性になるだろう。
また、菜穂のママ&パパと中学校の上原先生もいい。上原先生の最後あたりでの言葉がとてもいい。
どことなく江國香織さんの著作を思い出した。江國さん好きは好きかもしれない。児童向けというよりは、大人、もしくは中学生くらいの少女に読んでもらいたい本。また、作中に出てくる「10月はたそがれの国」(ブラッドベリ)も読んでみたくなった。
ここのところ、毎日のように拝見しているブログさんがある。そちらでの感想が「これは好みっぽい」とアンテナにひっかかり、借りた1冊。
予想にたがわぬ、私好みの1冊だった。児童書のところにあったのが意外。また、そのブログさんで紹介されていたものとは、装丁などが若干異なり、アマゾンで検索したら、文庫も出ているらしく、そちらは挿絵が違うみたい。(私が読んだものは、ハードカバーで長新太さんの挿絵つき)文庫版の表紙も可愛らしくてお勧め。
中学生になったばかりの菜穂は、前の席になった亜矢から「もう子供じゃないって思ったときっていつだった?」と質問される。その質問とっぴに思えたけれど、菜穂以外の人の前での亜矢は普通の少女だ。そして、亜矢と菜穂は親友になる。そんな中、菜穂の13歳の誕生日がやってきた。菜穂の母は、お菓子つくりお料理つくりが得意な専業主婦なのだが、その母からとんでもない大宣言が誕生日の夜になされる。
もう子供じゃない、でも大人でもない、微妙な年頃の少女が、ぐぐっと階段を登ってく様子を描いた物語。亜矢、菜穂、そして菜穂のもう一人の友人、まゆ子、三人の少女がとても魅力的に描き出されている。よい友達に恵まれている菜穂、きっと三人とも素敵な女性になるだろう。
また、菜穂のママ&パパと中学校の上原先生もいい。上原先生の最後あたりでの言葉がとてもいい。
どことなく江國香織さんの著作を思い出した。江國さん好きは好きかもしれない。児童向けというよりは、大人、もしくは中学生くらいの少女に読んでもらいたい本。また、作中に出てくる「10月はたそがれの国」(ブラッドベリ)も読んでみたくなった。
のほほん日曜日
本日はメガネさんのバースディ。
おめでとう。ぱちぱちぱち。
プレゼントは靴。もはや、磨いても磨いても傷が目立つ靴だったし、
早く買いに行きたいと思っていた。サイズの都合もあるし、本人も一緒に買いに出かけた。
なかなか良さそうな靴があった。クラークスの(以前もクラークスのを履いていたことがある)だけれど、以前のものより、軽く、履きやすそうなもの。
色がちょっと赤茶色なのが、気になるといえば気になるけれど、ご本人がお気に召したようなので、それに決定した。
男性の靴って選ぶの難しい。メガネさんは、割と無頓着なので、口を出すとそれに決まってしまうから、責任重大だし、できるだけ黙っておくことに。
自分の靴には相当うるさく、また数も実は沢山もっている。帰宅後、メガネさんが、早速新しい靴をはこうとしているので、すかさず奪い取って、防水スプレーなど履く前にする作業をする。軽く磨きもする。
靴磨きって、し始めるとはまってしまう。
というわけで、自分の靴まで出してみて、がんがん磨いたり、片付けたりした。メガネさんも横で、ほぉほぉと言いながら見たり手伝ったりしてくれた。
うぅ楽しい。
成果がわかりやすいとこが靴磨きのよさ。
その後は、二人そろってだらだらと読書タイム。ソファのまん中にサクラを挟んで座って、私は「インザプール」彼は「チームバチスタの栄光」を読む。(「チームバチスタ・・」は私が先に読んで強引に進めた1冊。だけど、面白いらしくはまっている。)
サクラは、上を向いて寝てみたり、メガネさんによじ登ろうとしてみたり、私に甘えてみたり、可愛かった。
朝早いうちに家事をして、午前中からお出かけして、早めに帰り、読書やだらだらタイムっていうのは、理想の日曜日だった。
お天気が上々なのも嬉しかった。
サクラが本調子で、用事がなければ、午前中からサクラを連れて長めの散歩に行きたかったくらい。
メガネさんって、晴れ男みたいで、彼がらみの日は必ず晴れる。
反対に雨女なワタクシ・・・羨ましいなぁ。
ちなみに、結婚式は前日まで雨、式直前まで曇り、式途中から晴れだった。晴れ男パワーが勝ったのか。笑。
おめでとう。ぱちぱちぱち。
プレゼントは靴。もはや、磨いても磨いても傷が目立つ靴だったし、
早く買いに行きたいと思っていた。サイズの都合もあるし、本人も一緒に買いに出かけた。
なかなか良さそうな靴があった。クラークスの(以前もクラークスのを履いていたことがある)だけれど、以前のものより、軽く、履きやすそうなもの。
色がちょっと赤茶色なのが、気になるといえば気になるけれど、ご本人がお気に召したようなので、それに決定した。
男性の靴って選ぶの難しい。メガネさんは、割と無頓着なので、口を出すとそれに決まってしまうから、責任重大だし、できるだけ黙っておくことに。
自分の靴には相当うるさく、また数も実は沢山もっている。帰宅後、メガネさんが、早速新しい靴をはこうとしているので、すかさず奪い取って、防水スプレーなど履く前にする作業をする。軽く磨きもする。
靴磨きって、し始めるとはまってしまう。
というわけで、自分の靴まで出してみて、がんがん磨いたり、片付けたりした。メガネさんも横で、ほぉほぉと言いながら見たり手伝ったりしてくれた。
うぅ楽しい。
成果がわかりやすいとこが靴磨きのよさ。
その後は、二人そろってだらだらと読書タイム。ソファのまん中にサクラを挟んで座って、私は「インザプール」彼は「チームバチスタの栄光」を読む。(「チームバチスタ・・」は私が先に読んで強引に進めた1冊。だけど、面白いらしくはまっている。)
サクラは、上を向いて寝てみたり、メガネさんによじ登ろうとしてみたり、私に甘えてみたり、可愛かった。
朝早いうちに家事をして、午前中からお出かけして、早めに帰り、読書やだらだらタイムっていうのは、理想の日曜日だった。
お天気が上々なのも嬉しかった。
サクラが本調子で、用事がなければ、午前中からサクラを連れて長めの散歩に行きたかったくらい。
メガネさんって、晴れ男みたいで、彼がらみの日は必ず晴れる。
反対に雨女なワタクシ・・・羨ましいなぁ。
ちなみに、結婚式は前日まで雨、式直前まで曇り、式途中から晴れだった。晴れ男パワーが勝ったのか。笑。
チームバチスタの栄光
海堂尊「チームバチスタの栄光」(宝島社、2006年):すごい。面白い。これは本当に面白い。
久しぶりにヒット。引き込まれて最後まであっというまに読んでしまった。
拡張型心筋症を心臓移植なしに治すのに有効とされている手術が「バチスタ手術」である。それを専門にし、華々しい成功をおさめてきた通称「チーム・バチスタ」なる七人組がいる。率いるのは有能な外科医桐生だ。その栄光のチーム・バチスタのバチスタ手術での失敗(術中死)が三度となった。更に、メディアが注目する患者に手術せねばならないこととなる。もはや、これ以上の失敗は許されない。そこで調査が入ることになり、依頼されたのは主人公田口医師。出世欲皆無、毎日、のどかにベテラン看護婦と二人で不定愁訴外来(通称・愚痴外来。患者さんの話を丁寧に聞いてあげ、不安を取り除く・・愚痴を聞いてあげる)をしている神経内科の講師だ。全くの門外漢なのに、調査に取り組むハメとなる彼・・。その後、強烈な個性の持ち主である役人、白鳥が調査に乗り込んでくる・・。果たして、医療過誤なのか、単なる偶然か、それとも殺人か・・・。
病院内、大学内の権力闘争、個人的な感情、人間関係に技術。勿論、それらとチーム・バチスタも無関係ではない。前半は田口医師の聞き取り中心に、そういった人間関係の「表側」がなでられ、後半は、白鳥の暴言から暴き出されるその「裏側」が描かれていく。
この、白鳥がすっごく面白い。実際にいたらかなり不愉快だけど・・。また対する、田口講師もいい。最後のところなんて惚れ惚れする。
桐生医師を始め、チーム・バチスタの面々も個性的で、それらが、うまく描き出されており、飽きない。周囲を固める脇役陣も、いい味を出している。登場人物が多い割りに、ごちゃついていないのもいい。
若干、全体的に漫画的な感じもするけれど。
門外漢である田口講師を主人公に据えたことによって、医療業界に詳しくない素人にもとてもわかりやすい。
ただ、ミステリーとしてよりは、「謎含みの小説」として読むべき。
トリックがどうとかいうタイプの小説ではない。
著者はお医者さんだそうだけれど、医療業界のこういうタイプの小説だけではなく、いろんな小説がかけそうで、これからも注目の作家さんだ。
久しぶりにヒット。引き込まれて最後まであっというまに読んでしまった。
拡張型心筋症を心臓移植なしに治すのに有効とされている手術が「バチスタ手術」である。それを専門にし、華々しい成功をおさめてきた通称「チーム・バチスタ」なる七人組がいる。率いるのは有能な外科医桐生だ。その栄光のチーム・バチスタのバチスタ手術での失敗(術中死)が三度となった。更に、メディアが注目する患者に手術せねばならないこととなる。もはや、これ以上の失敗は許されない。そこで調査が入ることになり、依頼されたのは主人公田口医師。出世欲皆無、毎日、のどかにベテラン看護婦と二人で不定愁訴外来(通称・愚痴外来。患者さんの話を丁寧に聞いてあげ、不安を取り除く・・愚痴を聞いてあげる)をしている神経内科の講師だ。全くの門外漢なのに、調査に取り組むハメとなる彼・・。その後、強烈な個性の持ち主である役人、白鳥が調査に乗り込んでくる・・。果たして、医療過誤なのか、単なる偶然か、それとも殺人か・・・。
病院内、大学内の権力闘争、個人的な感情、人間関係に技術。勿論、それらとチーム・バチスタも無関係ではない。前半は田口医師の聞き取り中心に、そういった人間関係の「表側」がなでられ、後半は、白鳥の暴言から暴き出されるその「裏側」が描かれていく。
この、白鳥がすっごく面白い。実際にいたらかなり不愉快だけど・・。また対する、田口講師もいい。最後のところなんて惚れ惚れする。
桐生医師を始め、チーム・バチスタの面々も個性的で、それらが、うまく描き出されており、飽きない。周囲を固める脇役陣も、いい味を出している。登場人物が多い割りに、ごちゃついていないのもいい。
若干、全体的に漫画的な感じもするけれど。
門外漢である田口講師を主人公に据えたことによって、医療業界に詳しくない素人にもとてもわかりやすい。
ただ、ミステリーとしてよりは、「謎含みの小説」として読むべき。
トリックがどうとかいうタイプの小説ではない。
著者はお医者さんだそうだけれど、医療業界のこういうタイプの小説だけではなく、いろんな小説がかけそうで、これからも注目の作家さんだ。
家にいるのが楽しくなる本
中山庸子「家にいるのが楽しくなる本」(新潮社、2003年)
図書館で借りた1冊。
私自身は家にいること自体は、すでにすごく好きなのだけど・・。この本は、家での面倒だなぁ退屈だなぁっていうことも楽しくさせてくれるようなエッセイになっている。
たとえば、一章では家の中の意外な空間を楽しむ・・と題して、幼いころに読んだ「床下のこびとたち」や「ライオンと魔女」も引用され(ここの時点で、「中山さんって私と同じ本を読んできた方!おまけに好みも一緒!」と親近感を抱いたのだけれど)衣装ダンスや床下といった普段気にも留めない狭い空間を楽しむことを思い出させてくれる。
二章では、家の中の細々とした仕事を楽しむ・・片づけが苦手なので、耳の痛い話もあるけれど、ちょっと見かたを変えて、家事を楽しむことを教えてくれる・・といった調子で、三章では家の中にお楽しみコーナーを作ろうというお話。四章では、家の中ですごすちょっとした時間を取り上げて、時を楽しむということを、最終章では、家族を思うことを思い出させてくれる。
ただ、つまんないと不平を言い続けるのではなく、ちょっと自分のものの捉え方を考え直し、周囲を見直せば、こんなに楽しいことが満ちているんだと思う。そういうエッセイ集だった。青い鳥は自分の家にいる。
図書館で借りた1冊。
私自身は家にいること自体は、すでにすごく好きなのだけど・・。この本は、家での面倒だなぁ退屈だなぁっていうことも楽しくさせてくれるようなエッセイになっている。
たとえば、一章では家の中の意外な空間を楽しむ・・と題して、幼いころに読んだ「床下のこびとたち」や「ライオンと魔女」も引用され(ここの時点で、「中山さんって私と同じ本を読んできた方!おまけに好みも一緒!」と親近感を抱いたのだけれど)衣装ダンスや床下といった普段気にも留めない狭い空間を楽しむことを思い出させてくれる。
二章では、家の中の細々とした仕事を楽しむ・・片づけが苦手なので、耳の痛い話もあるけれど、ちょっと見かたを変えて、家事を楽しむことを教えてくれる・・といった調子で、三章では家の中にお楽しみコーナーを作ろうというお話。四章では、家の中ですごすちょっとした時間を取り上げて、時を楽しむということを、最終章では、家族を思うことを思い出させてくれる。
ただ、つまんないと不平を言い続けるのではなく、ちょっと自分のものの捉え方を考え直し、周囲を見直せば、こんなに楽しいことが満ちているんだと思う。そういうエッセイ集だった。青い鳥は自分の家にいる。
SOKKI!
秦 健日子「SOKKI!〜人生には役に立たない特技」(講談社、2006年)
※作家名は、はたたけひことお読みするらしい。図書館にて借りた1冊。
映画にもなった「チェケラッチョ」の作者さんだそうだ。(未読だし、映画も見てないのでどういうものかはよく知らない。)
副題にもあるように、人生には役に立たない特技、速記のサークルに入ってしまった早稲田大学の学生、本多くんの青春物語。
人の話を記録として残すのなら、録音すればいい、速記文字で書き取ったものを再び普通の文字に直すことを考えれば、手間はかえってかかるといっていい・・と言う本多くん。なのに、なんで速記サークルに入ったのか。答えは簡単、皆が憧れる美女に勧誘されたから。彼女は、「役に立つこと」なんて「豚に喰われろって感じかな」なんて言っちゃう外見もさることながら、中身もなかなか素敵な女性だったのだ。半ばだまされるようにして入ったサークルだったが、彼の青春はそこから始まる。
学生時代、なんらかの(多分、学業や就職にはほとんど関わりない)趣味性の高いサークルや部活に所属したことがある人なら、わかると思う。このマイナーなのに、何かを目指す熱い感じ。(速記にも大学対抗の大会があるのだ)そしてその中での人間関係や恋・・青春だなぁ。面白かった。
速記には、以前小川洋子さんの小説で、ちょっと興味を抱いたことがあったけれど、速記文字を目にしたのは初めてで(この本の中には随所に速記文字も出てくる)それも興味深かった。これって、慣れたらちゃんと読み取れたり、書いたりできるんだよねぇ・・って思いながら。
※作家名は、はたたけひことお読みするらしい。図書館にて借りた1冊。
映画にもなった「チェケラッチョ」の作者さんだそうだ。(未読だし、映画も見てないのでどういうものかはよく知らない。)
副題にもあるように、人生には役に立たない特技、速記のサークルに入ってしまった早稲田大学の学生、本多くんの青春物語。
人の話を記録として残すのなら、録音すればいい、速記文字で書き取ったものを再び普通の文字に直すことを考えれば、手間はかえってかかるといっていい・・と言う本多くん。なのに、なんで速記サークルに入ったのか。答えは簡単、皆が憧れる美女に勧誘されたから。彼女は、「役に立つこと」なんて「豚に喰われろって感じかな」なんて言っちゃう外見もさることながら、中身もなかなか素敵な女性だったのだ。半ばだまされるようにして入ったサークルだったが、彼の青春はそこから始まる。
学生時代、なんらかの(多分、学業や就職にはほとんど関わりない)趣味性の高いサークルや部活に所属したことがある人なら、わかると思う。このマイナーなのに、何かを目指す熱い感じ。(速記にも大学対抗の大会があるのだ)そしてその中での人間関係や恋・・青春だなぁ。面白かった。
速記には、以前小川洋子さんの小説で、ちょっと興味を抱いたことがあったけれど、速記文字を目にしたのは初めてで(この本の中には随所に速記文字も出てくる)それも興味深かった。これって、慣れたらちゃんと読み取れたり、書いたりできるんだよねぇ・・って思いながら。
「屋久島ジュウソウ」、「ブスの瞳に恋してる」、「ツレがうつになりまして」
森絵都「屋久島ジュウソウ」(集英社、2006年):図書館にて。森絵都さんの旅行エッセイ。お友達のみーしゃさんのところで、知ったこの本、森絵都さんが旅エッセイを書かれているとは!と色めきたち、みーしゃさんの感想「やる気のないエッセイ」に心惹かれて借りてみた。
おぉ、本当にやる気が全く感じられない。笑。旅エッセイの集大成として、皆でわいわいグループ旅行という感じで気楽に立てていた旅行企画だったのが、コース選びの段階で、なぜか登山になってしまった・・という点からして、ちょっと面白い。そして、すごくしんどそうなのにさらりっと登山の様子が描かれ、魔窟のような山小屋(想像したくないお手洗い&おじさんたち&寝袋・・)の様子や、一緒に行った仲間たち(編集者さんたちなど)の様子がユーモラスでにやりとしてしまう。
深い感動や、努力やしんどさも、きっと、そこにはあるのだけれど、それを吹き飛ばすユーモアが満ちている。
どこか淡々としていて、本当にやる気がない感じが伝わってきて楽しかった。「あつい」のが苦手な人にお勧めエッセイ。
鈴木おさむ「ブスの瞳に恋してる」(マガジンハウス、2004年):今話題の1冊。ドラマにもなったらしい。「森三中」という女性お笑いトリオの一人大島さんと放送作家の鈴木さんの結婚生活についてのエッセイ。冗談のように持ち掛けた結婚話が実は大真面目で、放送作家とお笑い芸人という付き合いしかしてなかった二人がいきなり結婚し、生活し始めた顛末がおもしろおかしく描かれている。全編かなりお下劣。でも笑ってしまう・・・。まぁ二人が尊敬しあって愛し合ってるのならいいんじゃないって思う。力が抜ける本。表紙も裏表紙もものすごい・・・。(大島さんのベルバラ風カツラ&ドレス姿)
細川貂々「ツレがうつになりまして」(幻冬舎、2006年):以前挿絵で、細川貂々さんのイラストにはお目にかかったことがある。確かかわいらしい感じの絵だったと記憶しているのだけれど。
漫画家さんで、イラストレーターさんでもある貂貂さんは、ハードウェアメーカーにお勤めの旦那様とイグアナちゃんや亀ちゃんたちと暮らしていた。ところが、ある時から激務となっただんな様の様子がおかしくなって、お仕事に全く出かけられない状態になっていく。診断結果はうつ病。お薬を飲み始めたものの効き目が出るには時間がかかるとのこと。だんな様はお仕事をやめ、闘病生活が始まる。苦しむだんな様の様子をユーモアを忘れずに支え、見守りながら、それを楽しいエッセイ漫画にまとめた1冊。ストレス社会の今、誰がいつうつになるかわからない。だけど、落ち着いてちゃんと治療すれば治るということが伝わってくる。仲良しで穏やかなご夫婦の感じが好ましい。
おぉ、本当にやる気が全く感じられない。笑。旅エッセイの集大成として、皆でわいわいグループ旅行という感じで気楽に立てていた旅行企画だったのが、コース選びの段階で、なぜか登山になってしまった・・という点からして、ちょっと面白い。そして、すごくしんどそうなのにさらりっと登山の様子が描かれ、魔窟のような山小屋(想像したくないお手洗い&おじさんたち&寝袋・・)の様子や、一緒に行った仲間たち(編集者さんたちなど)の様子がユーモラスでにやりとしてしまう。
深い感動や、努力やしんどさも、きっと、そこにはあるのだけれど、それを吹き飛ばすユーモアが満ちている。
どこか淡々としていて、本当にやる気がない感じが伝わってきて楽しかった。「あつい」のが苦手な人にお勧めエッセイ。
鈴木おさむ「ブスの瞳に恋してる」(マガジンハウス、2004年):今話題の1冊。ドラマにもなったらしい。「森三中」という女性お笑いトリオの一人大島さんと放送作家の鈴木さんの結婚生活についてのエッセイ。冗談のように持ち掛けた結婚話が実は大真面目で、放送作家とお笑い芸人という付き合いしかしてなかった二人がいきなり結婚し、生活し始めた顛末がおもしろおかしく描かれている。全編かなりお下劣。でも笑ってしまう・・・。まぁ二人が尊敬しあって愛し合ってるのならいいんじゃないって思う。力が抜ける本。表紙も裏表紙もものすごい・・・。(大島さんのベルバラ風カツラ&ドレス姿)
細川貂々「ツレがうつになりまして」(幻冬舎、2006年):以前挿絵で、細川貂々さんのイラストにはお目にかかったことがある。確かかわいらしい感じの絵だったと記憶しているのだけれど。
漫画家さんで、イラストレーターさんでもある貂貂さんは、ハードウェアメーカーにお勤めの旦那様とイグアナちゃんや亀ちゃんたちと暮らしていた。ところが、ある時から激務となっただんな様の様子がおかしくなって、お仕事に全く出かけられない状態になっていく。診断結果はうつ病。お薬を飲み始めたものの効き目が出るには時間がかかるとのこと。だんな様はお仕事をやめ、闘病生活が始まる。苦しむだんな様の様子をユーモアを忘れずに支え、見守りながら、それを楽しいエッセイ漫画にまとめた1冊。ストレス社会の今、誰がいつうつになるかわからない。だけど、落ち着いてちゃんと治療すれば治るということが伝わってくる。仲良しで穏やかなご夫婦の感じが好ましい。
雨雨雨
雨続きの日々。雨になるとお菓子を作りたくなる習性の持ち主の私。
いつからそうなったのかは謎・・・・。
ずっと家庭科が嫌いだった。
お裁縫も調理も、不器用で全くそういうのに興味がなかったので
ものすご〜く時間がかかったし、下手だった。
調理実習では、いつも材料を計る係りか、お湯が沸いたのを知らせるような係。まともに包丁を持ったのは、実習中にテストされた林檎のウサギつくりくらい。死にそうな思いで作ったウサギは耳が取れそうだった・・。初めて学校で使ったミシンは電動ではなく、足踏み。以来あの自分のペースで踏んでは縫うミシンが大好きで、電動ミシンは怖くてなかなか使えなかった。(今も超スローペースでしか縫えない)
そんな状態だったので、未だに込み入った作業は不得手だ。
時間がかかってもいい、ゆがんでいてもいいという状況だからこそ、こうやって「雨の日にはお菓子を焼こうかな」とか「ビーズ細工を作ってみようかな」とか「編み物しようかな」などと思えるのだ。
というわけで、今週は小林カツヨさんのレシピから、「マーマレードケーキ」と「プアマンケーキ」を作ってみた。
「マーマレードケーキ」の方は、上に散らすとされているパン粉が我が家では不評なため省いた。確かに歯ざわりは面白いんだけど、私自身もパン粉は苦手だったし。ラム酒で伸ばすべきジャムをそのまま入れちゃうのも本当は良くないんだろうけれど、我が家ではぜんぜんOKだった。笑。時々出てくるジャムが楽しくて、これは大成功。
「プアマンケーキ」、牛乳も卵も使わないケーキ。ココアと薄力粉と水とマーガリンだ。出来上がりは・・なんだかモチモチした触感のココアケーキ。私好みではなかった。レーズンが少なすぎたのかしら・・もっと焼くべきだったのかしら・・。
むちっとした蒸しケーキというような感じ。べたっとした感じがいまいち・・・ブラウニーに近いかなぁ。こちらはいまいち。
実家に沢山ある絵本のリストを作っている。
まだまだまだまだ先は長く、いつになったら終わるのか全くわからない。
しかも、ひとつひとつに思い入れがあるため、作業に時間がかかることかかること!気長にやっていこう。楽しい作業だし。
ハリーポッターの新作「ハリーポッターと謎のプリンス」(上下)を読んだ。はるか昔に(?)アマゾンで予約していたため、届いて初めてその日が発売日だと知った。
感想は・・・これは〜もう〜子供が読む本ではない。
実際ハリーも17歳になろうとしているわけだから、子供向けではないのだろうけれど。内容は、触れるとネタばれになりそうで、うまく言えない。とにかく驚きと悲しみ、そして先へ先へと読ませる力を感じた。ただ、強すぎる。なにもかもが強すぎ、可哀想だ。
いつからそうなったのかは謎・・・・。
ずっと家庭科が嫌いだった。
お裁縫も調理も、不器用で全くそういうのに興味がなかったので
ものすご〜く時間がかかったし、下手だった。
調理実習では、いつも材料を計る係りか、お湯が沸いたのを知らせるような係。まともに包丁を持ったのは、実習中にテストされた林檎のウサギつくりくらい。死にそうな思いで作ったウサギは耳が取れそうだった・・。初めて学校で使ったミシンは電動ではなく、足踏み。以来あの自分のペースで踏んでは縫うミシンが大好きで、電動ミシンは怖くてなかなか使えなかった。(今も超スローペースでしか縫えない)
そんな状態だったので、未だに込み入った作業は不得手だ。
時間がかかってもいい、ゆがんでいてもいいという状況だからこそ、こうやって「雨の日にはお菓子を焼こうかな」とか「ビーズ細工を作ってみようかな」とか「編み物しようかな」などと思えるのだ。
というわけで、今週は小林カツヨさんのレシピから、「マーマレードケーキ」と「プアマンケーキ」を作ってみた。
「マーマレードケーキ」の方は、上に散らすとされているパン粉が我が家では不評なため省いた。確かに歯ざわりは面白いんだけど、私自身もパン粉は苦手だったし。ラム酒で伸ばすべきジャムをそのまま入れちゃうのも本当は良くないんだろうけれど、我が家ではぜんぜんOKだった。笑。時々出てくるジャムが楽しくて、これは大成功。
「プアマンケーキ」、牛乳も卵も使わないケーキ。ココアと薄力粉と水とマーガリンだ。出来上がりは・・なんだかモチモチした触感のココアケーキ。私好みではなかった。レーズンが少なすぎたのかしら・・もっと焼くべきだったのかしら・・。
むちっとした蒸しケーキというような感じ。べたっとした感じがいまいち・・・ブラウニーに近いかなぁ。こちらはいまいち。
実家に沢山ある絵本のリストを作っている。
まだまだまだまだ先は長く、いつになったら終わるのか全くわからない。
しかも、ひとつひとつに思い入れがあるため、作業に時間がかかることかかること!気長にやっていこう。楽しい作業だし。
ハリーポッターの新作「ハリーポッターと謎のプリンス」(上下)を読んだ。はるか昔に(?)アマゾンで予約していたため、届いて初めてその日が発売日だと知った。
感想は・・・これは〜もう〜子供が読む本ではない。
実際ハリーも17歳になろうとしているわけだから、子供向けではないのだろうけれど。内容は、触れるとネタばれになりそうで、うまく言えない。とにかく驚きと悲しみ、そして先へ先へと読ませる力を感じた。ただ、強すぎる。なにもかもが強すぎ、可哀想だ。
出口のない部屋
岸田るり子「出口のない部屋」(東京創元社、2006年):以前紹介した「密室の鎮魂歌」の岸田るり子さんの新作。
前作は本当にすごいインパクトで、ポイントとなる部分が私の好みではなかったにも関わらず、引き込まれた。今回も期待大だったのだけれど・・う〜ん。個人的には前作の方がパワーがあったように思う。
あちらこちらと視点が動く感じがあり、作者の仕掛けが、絡まって混乱する。でも、それが狙いなんだろう。出てくるもの(キメラの研究とか)が私にとっては好みじゃなくて、そこも、いまひとつのめりこめなかった原因かもしれない。暗いんだけど、派手なミステリだった。
前作は本当にすごいインパクトで、ポイントとなる部分が私の好みではなかったにも関わらず、引き込まれた。今回も期待大だったのだけれど・・う〜ん。個人的には前作の方がパワーがあったように思う。
あちらこちらと視点が動く感じがあり、作者の仕掛けが、絡まって混乱する。でも、それが狙いなんだろう。出てくるもの(キメラの研究とか)が私にとっては好みじゃなくて、そこも、いまひとつのめりこめなかった原因かもしれない。暗いんだけど、派手なミステリだった。
「にわか大根」
近藤史恵「にわか大根」(光文社、2006年):うっかりしている間に、どんどん好きな作家さんの新刊が出ていて、のんびり入院なんてしてられない。笑。退院してすぐに図書館で予約した1冊が手元に届いた。
猿若町捕物帳シリーズ。三作目かな?
江戸を舞台に誠実な同心玉島千蔭と、その小者八十吉。それに歌舞伎役者の巴之丞と花魁梅若。この四人が情報を集めてお江戸で起こる様々な不思議な謎を解いていく。
「吉原雀」「にわか大根」「片陰」の三篇がおさめられている。
「吉原雀」:吉原で連続して三人の遊女が死んだ。連続していること、店の主がその死を隠そうとしたこと、三人を看取った医師が同一人物であること、巴之丞が演じる「吉原雀」の演目を描いた役者絵に三人に似た女性が描かれていることなども判る。不信を抱いた千蔭の調査が始まる。三人の死因は異なるのだが、あることからつながりが見えて・・・・。
「にわか大根」:上方に修行に行っていた役者の公演がある。大人気の巴之丞と同じかそれ以上の実力を持つという彼の舞台、みなが楽しみにしていたその公演だったのだが、彼を見た人々は落胆する。なんともいえないたどたどしい演技。にわかに大根役者になってしまったのだ。「にわか大根」の掛け声もかかるくらいに。ところが、その男の子供が死ぬという事件が起きる。公演を見に行ったときから不信感を抱いていた千蔭、そして彼のライバルとなるはずだった巴之丞は・・。
「片蔭」:8月1日は吉原の遊女がみな白い着物を着て喪に服す日。その日は白い着物で馴染みのだんなだけに会う日だという。そんな日に梅若に呼び出された千蔭・・ところがそこに死体発見のニュースが飛び込んでくる。死体は誰にでも優しく誠実で実直だったという役者。疑われたのは彼の相方だった男だ。ところが、その男、なんと巴之丞の幼馴染だというではないか。幼いころとは全く違う酒に飲まれ、暴れるその男を追う千蔭と八十吉だが・・・。
全編通して、謎解きと平行して描かれる千蔭の実家の様子がまた面白い。本来千蔭の見合い相手としてやってきたのに、あろうことか、千蔭の父と恋に落ちて結婚した義母お駒や、彼女が千蔭とくっつけようとしている少女おふく、また、巴之丈、梅若との千蔭のやりとりなど、息をふっと抜ける場所があるのが救い。
猿若町捕物帳シリーズ。三作目かな?
江戸を舞台に誠実な同心玉島千蔭と、その小者八十吉。それに歌舞伎役者の巴之丞と花魁梅若。この四人が情報を集めてお江戸で起こる様々な不思議な謎を解いていく。
「吉原雀」「にわか大根」「片陰」の三篇がおさめられている。
「吉原雀」:吉原で連続して三人の遊女が死んだ。連続していること、店の主がその死を隠そうとしたこと、三人を看取った医師が同一人物であること、巴之丞が演じる「吉原雀」の演目を描いた役者絵に三人に似た女性が描かれていることなども判る。不信を抱いた千蔭の調査が始まる。三人の死因は異なるのだが、あることからつながりが見えて・・・・。
「にわか大根」:上方に修行に行っていた役者の公演がある。大人気の巴之丞と同じかそれ以上の実力を持つという彼の舞台、みなが楽しみにしていたその公演だったのだが、彼を見た人々は落胆する。なんともいえないたどたどしい演技。にわかに大根役者になってしまったのだ。「にわか大根」の掛け声もかかるくらいに。ところが、その男の子供が死ぬという事件が起きる。公演を見に行ったときから不信感を抱いていた千蔭、そして彼のライバルとなるはずだった巴之丞は・・。
「片蔭」:8月1日は吉原の遊女がみな白い着物を着て喪に服す日。その日は白い着物で馴染みのだんなだけに会う日だという。そんな日に梅若に呼び出された千蔭・・ところがそこに死体発見のニュースが飛び込んでくる。死体は誰にでも優しく誠実で実直だったという役者。疑われたのは彼の相方だった男だ。ところが、その男、なんと巴之丞の幼馴染だというではないか。幼いころとは全く違う酒に飲まれ、暴れるその男を追う千蔭と八十吉だが・・・。
全編通して、謎解きと平行して描かれる千蔭の実家の様子がまた面白い。本来千蔭の見合い相手としてやってきたのに、あろうことか、千蔭の父と恋に落ちて結婚した義母お駒や、彼女が千蔭とくっつけようとしている少女おふく、また、巴之丈、梅若との千蔭のやりとりなど、息をふっと抜ける場所があるのが救い。
「ぶぶ漬け伝説の謎」「買い物おバカ日記」
北森鴻「ぶぶ漬け伝説の謎」(光文社、2006年):図書館で随分予約待ちしてやっと手元に届いた1冊。裏京都ミステリーシリーズ2作目。北森さんの小説の中でも、軽くて明るいこのシリーズ。だけど、そこここに見え隠れする「京都」が私には新しいことばかりで楽しい。
京都嵐山にある大悲閣千光寺、そこで寺男をしている主人公有馬次郎。彼の前歴はなんと泥棒。今は改心して静かに生活を送りたいとおもっているのだが、好奇心旺盛でニュースを求めて飛び回る記者折原けい、トラブルメーカーで自己中心的なバカミス作家ムンちゃんこと水森堅という二人がそばにいる限り彼の心の平安は訪れない。また、彼自身も持ち前の情報収集力(?)と好奇心で謎解きに足を突っ込んでしまうのだった・・。
さて、今回は「狐狸夢」、表題作「ぶぶ漬け伝説の謎」「悪縁断ち」「冬の刺客」「興ざめた馬を見よ」「白味噌伝説の謎」の六編から成る連続短編集だ。
中でも表題作「ぶぶ漬け伝説の謎」、誰もが一度は聞いたことがある、京都での「ぶぶ漬けでも食べていけ」と言われたら「早く帰れ」との意味だという例のあの伝説(実際にはどうなんでしょう?)の謎にせまる。これ、すごく面白い解釈だった。ポイントはぶぶ漬けはすばやくかっこむものである・・ということ。そこがこの短編の謎を解く鍵でもある。これに限らず、全て、京都の伝統的な事柄に絡めての謎解きで、いろんな意味で楽しめる。おうどんの狸と狐の違い、安井金比羅宮に収められた相反する形代、みたらし団子の謎、抜け雀ならぬ抜け馬、そして京都の甘い白味噌・・・あぁ京都って面白い。
ところどころに出てくる渋いバーで供される京都らしいお料理の一品もまたいい。食べてみたい。お腹が空くのだ。
個人的には、折原けいは我慢できるんだけど、ムンちゃんが・・・ついにあ〜んなこともやらかしてしまうし。笑。
京都好きな方、気になる方はぜひ一読あれ。
カレン・ボスナック「買い物おバカ日記」(文藝春秋、2006年):ちょっと気になって図書館で借りた1冊。びっくりした。
小説家と思ったら、実際にあった出来事だそうだ。すごいな、アメリカ。
カレンは若干26歳の若い女性。彼女がニューヨークに移り住んだところから物語りはスタートする。シカゴでお金をためニューヨークに出てきた彼女、その時点で引っ越し費用だけは、カード払いだった。番組プロデューサーの仕事に就き、わりといい収入を得るようになった彼女は生来のお買い物好き。プラダ、グッチ、ルイヴィトン、バーバリーなどなど彼女の住まう新居周辺にはありとあらゆるお高いブランド店があり、また高級デパートブルーミングデールズもある。お買い物好きにとっては、天国でありまた地獄の始まりでもあるこの状況で、カレンがお買い物欲に勝てるはずもなく、彼女は買って買って買い捲る。勿論現金があるわけではないから、カードで・・。
そして気付けば、彼女は二万ドルを超える借金を背負っていた。当初、買って返す作戦(買ってすぐに返品すれば当月にその店から返金があり、支払いは来月回しになるので、当月支払額が減る)などを実行する。だが、彼女自身が変わる訳ではないため、状況は改善されず。追い詰められた彼女が思いついたのは「インターネット物乞い」。「私に二万ドルください」というサイトを作ったのだ。果たして彼女は本当に借金を返せるか。
このサイト、話題になって本当に寄付金が集まったらしい。でも、日本人だったらどうだろう。彼女の当意即妙な返答やユーモア溢れる態度は面白いけれど、実際のところ私にとっては、好きになれないタイプ。世界には、いろんな人がいるなぁと思わされた。
京都嵐山にある大悲閣千光寺、そこで寺男をしている主人公有馬次郎。彼の前歴はなんと泥棒。今は改心して静かに生活を送りたいとおもっているのだが、好奇心旺盛でニュースを求めて飛び回る記者折原けい、トラブルメーカーで自己中心的なバカミス作家ムンちゃんこと水森堅という二人がそばにいる限り彼の心の平安は訪れない。また、彼自身も持ち前の情報収集力(?)と好奇心で謎解きに足を突っ込んでしまうのだった・・。
さて、今回は「狐狸夢」、表題作「ぶぶ漬け伝説の謎」「悪縁断ち」「冬の刺客」「興ざめた馬を見よ」「白味噌伝説の謎」の六編から成る連続短編集だ。
中でも表題作「ぶぶ漬け伝説の謎」、誰もが一度は聞いたことがある、京都での「ぶぶ漬けでも食べていけ」と言われたら「早く帰れ」との意味だという例のあの伝説(実際にはどうなんでしょう?)の謎にせまる。これ、すごく面白い解釈だった。ポイントはぶぶ漬けはすばやくかっこむものである・・ということ。そこがこの短編の謎を解く鍵でもある。これに限らず、全て、京都の伝統的な事柄に絡めての謎解きで、いろんな意味で楽しめる。おうどんの狸と狐の違い、安井金比羅宮に収められた相反する形代、みたらし団子の謎、抜け雀ならぬ抜け馬、そして京都の甘い白味噌・・・あぁ京都って面白い。
ところどころに出てくる渋いバーで供される京都らしいお料理の一品もまたいい。食べてみたい。お腹が空くのだ。
個人的には、折原けいは我慢できるんだけど、ムンちゃんが・・・ついにあ〜んなこともやらかしてしまうし。笑。
京都好きな方、気になる方はぜひ一読あれ。
カレン・ボスナック「買い物おバカ日記」(文藝春秋、2006年):ちょっと気になって図書館で借りた1冊。びっくりした。
小説家と思ったら、実際にあった出来事だそうだ。すごいな、アメリカ。
カレンは若干26歳の若い女性。彼女がニューヨークに移り住んだところから物語りはスタートする。シカゴでお金をためニューヨークに出てきた彼女、その時点で引っ越し費用だけは、カード払いだった。番組プロデューサーの仕事に就き、わりといい収入を得るようになった彼女は生来のお買い物好き。プラダ、グッチ、ルイヴィトン、バーバリーなどなど彼女の住まう新居周辺にはありとあらゆるお高いブランド店があり、また高級デパートブルーミングデールズもある。お買い物好きにとっては、天国でありまた地獄の始まりでもあるこの状況で、カレンがお買い物欲に勝てるはずもなく、彼女は買って買って買い捲る。勿論現金があるわけではないから、カードで・・。
そして気付けば、彼女は二万ドルを超える借金を背負っていた。当初、買って返す作戦(買ってすぐに返品すれば当月にその店から返金があり、支払いは来月回しになるので、当月支払額が減る)などを実行する。だが、彼女自身が変わる訳ではないため、状況は改善されず。追い詰められた彼女が思いついたのは「インターネット物乞い」。「私に二万ドルください」というサイトを作ったのだ。果たして彼女は本当に借金を返せるか。
このサイト、話題になって本当に寄付金が集まったらしい。でも、日本人だったらどうだろう。彼女の当意即妙な返答やユーモア溢れる態度は面白いけれど、実際のところ私にとっては、好きになれないタイプ。世界には、いろんな人がいるなぁと思わされた。
北原亞以子「新地橋〜深川澪通り木戸番小屋」
北原亞以子「新地橋〜深川澪通り木戸番小屋」(講談社文庫):慶次郎縁側日記(NHKでドラマにもなった)で人気の北原さんの時代小説で、連作短編集。シリーズ三作目。慶次郎よりも個人的には、この深川澪通りシリーズの方が好きだ。
深川澪通り・・普通の長屋が立ち並ぶ通り・・だがそこには、お捨と笑次郎という夫婦が住まう木戸番小屋がある。にがむしを噛みつぶしたような顔をしながらも、情に厚く、誰よりもお捨を大切にし、頼りになる笑次郎、そして、ころころとよく笑い、また品よくふっくらとしているお捨。この夫婦は、長屋に似合わぬ品と格をもっており、周囲の人々の頼りとされている。そんな木戸番小屋には、いつも人が絶えず出入りし、様々な相談事を持ちかける。また二人も、悩みを抱えた人を見逃さず、終始みなを気にかけている。癒しの空間ともいえる。
表題作「新地橋」:新地橋のあっちとこっちでは世界が違う。疑いだしたら切りがなく、疑心暗鬼に陥ってしまう一組の夫婦の話。切ないけれど、夫婦のパワーを知る。
「うまい酒」:自分なりの筋を通してきたのに、手痛い裏切りを受け、人を信じることが出来なくなった男が、澪通りで少しずつ癒されていく。
「深川育ち」:悪い男に妹が誘われている・・妹のほうもまんざらとは思えない・・二人でずっと暮らしてきた姉はそのとき・・・。「お二人とも深川育ちですもの。いやなことは川に流してしまわれますよ。」
「鬼の霍乱」:大切な女房お捨が熱を出してしまった。笑次郎と一緒にいれば、無理して体を動かして悪化させてしまう・・と周囲の人がお捨を預かる。残された笑次郎・・だがこれまたみながよってたかって世話を焼く。だがそれを一人つまらなく思う男がいた。
淋しい淋しい男の話。ラストの笑次郎の思いが効いている。
「親思い」:明るくまっすぐな青年豊松はもともと脱藩した武士の子供。両親と死に別れ、今は百姓吾助の子として、蔬菜売りをしている。武士の子としての意識も強いが、吾助夫婦を両親として大切にし、また、笑次郎お捨夫婦にもなつき、親のように慕っている。彼が嫌うのは、親戚おげんだけ。そんな彼の元に、脱藩した武士を探して同藩の武士がやってきて・・皮肉な真実が判る。これもあったかくて、元気がでるラスト。すがすがしい。
「18年」:18年前同じ家具職人の下に弟子として入った男伊与吉と藤松。言い訳が先に立ち不器用だった伊与松だが、親方から独立して家具職人として将来を嘱望され、親方とは違う個性に人気がある。実直で、腕も上々だった藤松は親方の娘であるお此を妻としたにも関わらず、離婚し上方へ修行に旅立とうとしている。ライバル同士にどうしてこうも差がついたのか・・。人生の不思議を感じるけれど、もういっぺんひっくりかえしがありそうなラストがいい。
深川澪通り・・普通の長屋が立ち並ぶ通り・・だがそこには、お捨と笑次郎という夫婦が住まう木戸番小屋がある。にがむしを噛みつぶしたような顔をしながらも、情に厚く、誰よりもお捨を大切にし、頼りになる笑次郎、そして、ころころとよく笑い、また品よくふっくらとしているお捨。この夫婦は、長屋に似合わぬ品と格をもっており、周囲の人々の頼りとされている。そんな木戸番小屋には、いつも人が絶えず出入りし、様々な相談事を持ちかける。また二人も、悩みを抱えた人を見逃さず、終始みなを気にかけている。癒しの空間ともいえる。
表題作「新地橋」:新地橋のあっちとこっちでは世界が違う。疑いだしたら切りがなく、疑心暗鬼に陥ってしまう一組の夫婦の話。切ないけれど、夫婦のパワーを知る。
「うまい酒」:自分なりの筋を通してきたのに、手痛い裏切りを受け、人を信じることが出来なくなった男が、澪通りで少しずつ癒されていく。
「深川育ち」:悪い男に妹が誘われている・・妹のほうもまんざらとは思えない・・二人でずっと暮らしてきた姉はそのとき・・・。「お二人とも深川育ちですもの。いやなことは川に流してしまわれますよ。」
「鬼の霍乱」:大切な女房お捨が熱を出してしまった。笑次郎と一緒にいれば、無理して体を動かして悪化させてしまう・・と周囲の人がお捨を預かる。残された笑次郎・・だがこれまたみながよってたかって世話を焼く。だがそれを一人つまらなく思う男がいた。
淋しい淋しい男の話。ラストの笑次郎の思いが効いている。
「親思い」:明るくまっすぐな青年豊松はもともと脱藩した武士の子供。両親と死に別れ、今は百姓吾助の子として、蔬菜売りをしている。武士の子としての意識も強いが、吾助夫婦を両親として大切にし、また、笑次郎お捨夫婦にもなつき、親のように慕っている。彼が嫌うのは、親戚おげんだけ。そんな彼の元に、脱藩した武士を探して同藩の武士がやってきて・・皮肉な真実が判る。これもあったかくて、元気がでるラスト。すがすがしい。
「18年」:18年前同じ家具職人の下に弟子として入った男伊与吉と藤松。言い訳が先に立ち不器用だった伊与松だが、親方から独立して家具職人として将来を嘱望され、親方とは違う個性に人気がある。実直で、腕も上々だった藤松は親方の娘であるお此を妻としたにも関わらず、離婚し上方へ修行に旅立とうとしている。ライバル同士にどうしてこうも差がついたのか・・。人生の不思議を感じるけれど、もういっぺんひっくりかえしがありそうなラストがいい。
サブレつくりの日


朝から雨だった昨日、雷こそならなかったものの、終日じゃんじゃんと降り続いた雨は、もうやまないのではないか?と思わせるような雰囲気だった。ひんやりとした水分を含んだ風と雨の日独特の香りが、なんだか懐かしくて、ベランダに出てみたり、網戸にしてみたりした。
お天気が悪い日は、なぜかお菓子が作りたくなる性分だ。昔はぜんぜんそんなことなかったのに。うずうずして、何か何か・・と思ってしまう。今回は、先日買ったばかりのクッキーのレシピ本をつい手にとってめくってしまった。そして、やっぱりやめようと思ったのに、美味しいものがてんこ盛りの「桜宵」を今度は読んでしまった。あぅぅ。
たまらなくなって、やっぱり焼くことにする。
クッキーレシピ本より「サブレ」。本ではトリの型で抜いていたが、うちのトリ型は小さい。はしっこがこげて崩れてしまいそうな気がした。だから、丸型で抜く。そして、上に、購入したものの一度も使ってなかった王冠の押し型で、王冠マークをつけることに。
サブレって、アーモンドプードルを沢山使うんだ!お砂糖は他のより少なめなんだ!わ〜バター多いな。などなど初めて作るお菓子には色々発見があって、楽しい。生地を作って冷蔵庫に入れ、休ませる間に、ミルクティ片手に、再び窓辺に。
雨は降り続き、しっとりとした香りが嬉しい。江國さんのエッセイに「雨の日は必ず窓辺で雨を見る」というようなことが書いてあったと記憶しているけれど、それは私も同じかもしれないと思う。雨の日になるたびにそう思う。
さて、楽しい型抜きタイム。180度に予熱し始めたオーブンを横目に、どんどん並べていく楽しさ。浮き立つ思いで、オーブンに入れる。
20分の焼き時間の間、我慢できずに幾度となく外から焼けていくサブレを見守る。
サクラもにおいをかぎつけて、足元から動かない。
焼き上がり〜。いびつなサブレが並ぶ。熱々のを1つほおばり、味見する。う〜成功♪簡単なものしか作れないけれど、至福のときだ。作った人だけが味わえる焼きたての味。
すこし冷まして、ちっちゃなかけらをサクラもお相伴。
このサブレ、また作ってみたい。
北森鴻「桜宵」
北森鴻「桜宵」(講談社文庫、2006年):大好きな北森鴻さんの「バー香菜里屋シリーズ」第二弾。連作短編集ではあるけれど、お話ひとつひとつがつながってはいない。5篇から成っている1冊。以前図書館でハードカバーで読んでいたものの、どうしても手元におきたくて、文庫化を待ち購入した。
#1、15周年:郷里で行きつけだった店から15周年のパーティの招待があった。だが何かおかしい・・そこにはある人の意志が働いていた・・・ほのかに心があったかくなる。香菜里屋らしい感じがする一篇。スタートにふさわしい。
#2、桜宵:表題作「桜宵」、ある日メモを片手にやってきた新規の客、彼のなくなった妻が「最後のプレゼントを用意してある」といったのが香菜里屋だったのだ。そこで食べたもの・・それは妻がよく作ってくれた炊き込みご飯。しかし、料理の名前は妻から告げられていた「茶飯」ではなく、「桜飯」だとそのとき知る。背筋が冷たくなる彼。彼にはある桜にまつわる特別な思い出があった・・これも、最後はほわんとあたたかく余韻を残す。御衣黄桜と呼ばれる桜と主人公、妻、そしてもう一人の気持ちが交錯し、それが誤って伝わらないよう控えめにそばにいるマスター工藤さん。柔らかく春らしい。
#3、犬のお告げ:これは個人的に苦手な題材で、どうしても再読できなかった。
#4、旅人の真実:ある日、香菜里屋に「金色のカクテルを」と注文する男がやってくる。そして、出されたものを激しい言葉で拒否して去っていく。しかも、幾つもの店で同じことを繰り返しているらしい。そのうちカクテルは工藤の友人の手によって完成され男に供されるのだが、その後彼は殺される。果たしてそこにはどんな真実が?・・・なんともいえず、いやな人が世の中にはいるもんだなぁと思う。どこまでいってもまとわりついてくる人というのの怖さを思う。
#5、約束:たまたま工藤が手助けにやってきた店で10年前の約束だという再会を果たした一組の男女。男性は苦労した末に作家として大成した男だ。懐かしく当時を思い出す二人。だが何かがおかしい・・これも人の心の闇を思う一篇。こういうオカルトティックな思い込みにしばられること自体が気持ち悪いし怖い。
#1、15周年:郷里で行きつけだった店から15周年のパーティの招待があった。だが何かおかしい・・そこにはある人の意志が働いていた・・・ほのかに心があったかくなる。香菜里屋らしい感じがする一篇。スタートにふさわしい。
#2、桜宵:表題作「桜宵」、ある日メモを片手にやってきた新規の客、彼のなくなった妻が「最後のプレゼントを用意してある」といったのが香菜里屋だったのだ。そこで食べたもの・・それは妻がよく作ってくれた炊き込みご飯。しかし、料理の名前は妻から告げられていた「茶飯」ではなく、「桜飯」だとそのとき知る。背筋が冷たくなる彼。彼にはある桜にまつわる特別な思い出があった・・これも、最後はほわんとあたたかく余韻を残す。御衣黄桜と呼ばれる桜と主人公、妻、そしてもう一人の気持ちが交錯し、それが誤って伝わらないよう控えめにそばにいるマスター工藤さん。柔らかく春らしい。
#3、犬のお告げ:これは個人的に苦手な題材で、どうしても再読できなかった。
#4、旅人の真実:ある日、香菜里屋に「金色のカクテルを」と注文する男がやってくる。そして、出されたものを激しい言葉で拒否して去っていく。しかも、幾つもの店で同じことを繰り返しているらしい。そのうちカクテルは工藤の友人の手によって完成され男に供されるのだが、その後彼は殺される。果たしてそこにはどんな真実が?・・・なんともいえず、いやな人が世の中にはいるもんだなぁと思う。どこまでいってもまとわりついてくる人というのの怖さを思う。
#5、約束:たまたま工藤が手助けにやってきた店で10年前の約束だという再会を果たした一組の男女。男性は苦労した末に作家として大成した男だ。懐かしく当時を思い出す二人。だが何かがおかしい・・これも人の心の闇を思う一篇。こういうオカルトティックな思い込みにしばられること自体が気持ち悪いし怖い。
夏期限定トロピカルパフェ事件・・
米澤穂信「夏期限定トロピカルパフェ事件」(創元推理文庫、2006年):米澤さんも注目の作家さんの一人。シリーズも二作目で、前作同様、「小市民」を目指すはずの小鳩君と、小佐内さんがなぜか大活躍。
この「小市民」というのは、つまり、目立たず平凡に学生生活を送る一般的な学生という意味だ。というのも、小鳩君は、通称「狐」と呼ばれたほどに自身の洞察力を自慢し、名探偵を気取り、それによって周囲に疎まれたという経験を持つ。小佐内さんは、そのか弱い見かけとは裏腹な、「狼」と呼ばれる荒く執念深い「やられたらやりかえす」精神の持ち主だった。それを隠すべく、二人は助け合うことを誓い、そこらの恋人関係とは違う互恵関係にあるのだ。(勿論、それは秘密で、平凡且つ、地味なカップルとして認識されるのが望み。)
だが、そこは、習い性、なかなかそうはことはうまく運ばない。
一章には、小鳩君の本性がすこ〜し垣間見られる。そして小佐内さんの個性も・・・・。後で考えてみれば、この一章がこの一冊の大きなポイントとなる。そして、終章まで、なんとも美味しそうなお菓子とともに、事件は起きていく。
そして、次の一冊がとってもとっても待たれる。
※続きにはネタばれ&辛口感想を含むので、未読の方はご遠慮ください。
この「小市民」というのは、つまり、目立たず平凡に学生生活を送る一般的な学生という意味だ。というのも、小鳩君は、通称「狐」と呼ばれたほどに自身の洞察力を自慢し、名探偵を気取り、それによって周囲に疎まれたという経験を持つ。小佐内さんは、そのか弱い見かけとは裏腹な、「狼」と呼ばれる荒く執念深い「やられたらやりかえす」精神の持ち主だった。それを隠すべく、二人は助け合うことを誓い、そこらの恋人関係とは違う互恵関係にあるのだ。(勿論、それは秘密で、平凡且つ、地味なカップルとして認識されるのが望み。)
だが、そこは、習い性、なかなかそうはことはうまく運ばない。
一章には、小鳩君の本性がすこ〜し垣間見られる。そして小佐内さんの個性も・・・・。後で考えてみれば、この一章がこの一冊の大きなポイントとなる。そして、終章まで、なんとも美味しそうなお菓子とともに、事件は起きていく。
そして、次の一冊がとってもとっても待たれる。
※続きにはネタばれ&辛口感想を含むので、未読の方はご遠慮ください。
お知らせ
またしてもテンプレート変更・・こう頻繁に日記デザインを変えると読んで下さる方は、途惑ってしまうことでしょう・・ごめんなさい。
それと、Amazonへリンクをはりました。これで、本の表紙画像が表示できるので、なんとなくイメージしやすくなったかなと思います。情報もゲットしやすいですし。ただ、「かえって分かりにくい〜」など、不評だった場合は、やめますので、掲示板等でご意見お待ちしております。
それと、Amazonへリンクをはりました。これで、本の表紙画像が表示できるので、なんとなくイメージしやすくなったかなと思います。情報もゲットしやすいですし。ただ、「かえって分かりにくい〜」など、不評だった場合は、やめますので、掲示板等でご意見お待ちしております。
連休ラスト
この連休は、ほとんど家にいるか、家の周辺の散歩に明け暮れていた。
サクラは体調不良だし、メガネさんは、お仕事があったり、私自身がまだ以前の状態に戻りきれて居ないのもあるけれど、とにかく、のんびりした。
そして、この連休初の、いわゆる「お出かけ」が、連休ラストの本日。笑。
行った先は、市内のデパートで、目的は、快気祝いのお菓子を買うことと、先日オープンした市内では最も大きくて初の本格的な(?)本屋さんへ行くことだった。勿論、地下で食材を買うことも。
本屋さん、最高だった。今まで熱望していた、きちんとした本屋。創元推理文庫もハヤカワミステリもビレッジブックスもランダムハウスもそろっている!!!嬉しい。若干品揃えが薄く、また雑誌エリアが広いのが気になるところだけれど、既存の本屋とは雲泥の差だ。大型チェーン店の強さだろうか。このままの水準をキープしてほしいけれど・・どうだろう。変わらないでいてね。お願い・・・。
理性を失って買い込む。こういう広い本屋に来るのは久しぶりなのだ。
村上春樹さんの「Sydney(コアラ純情篇)」「Sydney(ワラビー熱血篇)」北原亞以子さん「新地橋〜深川澪通り木戸番小屋」大江健三郎さん「新しい人よ眼ざめよ」幸田文さん「草の花」。それとクッキーのレシピ本。
メガネさんは、最近はまっているNHKの英会話の本を買っていた。(一緒に何度か見たけれど、23時からのNHKは毎日のように面白い英会話の番組があってなかなかいい感じだと思う。)
満喫した。あぁ本屋って本当にいいものですね!
目的のお菓子も食材もがっつり買い込んで、しかもなんだかお得な日だったらしく色々安くて、ご機嫌だった。福引までした。例によって、はずれたけど・・。おまけで、フリーザーバックを貰った。
帰りにつつじが美しい公園に寄った。まさに満開で、昨日とは打って変わって晴れ渡った午後の空の下綺麗に咲きそろっていた。つつじは、やはり塊で、もわっと見るのがいいもんだなぁ。町中にも色々植えてあるところがあり、車からの景色だけでも楽しかった。
帰宅したら、寝押しが顔一面についたサクラ姫が大喜びで迎えてくれた。寝てたんだね・・。
サクラは体調不良だし、メガネさんは、お仕事があったり、私自身がまだ以前の状態に戻りきれて居ないのもあるけれど、とにかく、のんびりした。
そして、この連休初の、いわゆる「お出かけ」が、連休ラストの本日。笑。
行った先は、市内のデパートで、目的は、快気祝いのお菓子を買うことと、先日オープンした市内では最も大きくて初の本格的な(?)本屋さんへ行くことだった。勿論、地下で食材を買うことも。
本屋さん、最高だった。今まで熱望していた、きちんとした本屋。創元推理文庫もハヤカワミステリもビレッジブックスもランダムハウスもそろっている!!!嬉しい。若干品揃えが薄く、また雑誌エリアが広いのが気になるところだけれど、既存の本屋とは雲泥の差だ。大型チェーン店の強さだろうか。このままの水準をキープしてほしいけれど・・どうだろう。変わらないでいてね。お願い・・・。
理性を失って買い込む。こういう広い本屋に来るのは久しぶりなのだ。
村上春樹さんの「Sydney(コアラ純情篇)」「Sydney(ワラビー熱血篇)」北原亞以子さん「新地橋〜深川澪通り木戸番小屋」大江健三郎さん「新しい人よ眼ざめよ」幸田文さん「草の花」。それとクッキーのレシピ本。
メガネさんは、最近はまっているNHKの英会話の本を買っていた。(一緒に何度か見たけれど、23時からのNHKは毎日のように面白い英会話の番組があってなかなかいい感じだと思う。)
満喫した。あぁ本屋って本当にいいものですね!
目的のお菓子も食材もがっつり買い込んで、しかもなんだかお得な日だったらしく色々安くて、ご機嫌だった。福引までした。例によって、はずれたけど・・。おまけで、フリーザーバックを貰った。
帰りにつつじが美しい公園に寄った。まさに満開で、昨日とは打って変わって晴れ渡った午後の空の下綺麗に咲きそろっていた。つつじは、やはり塊で、もわっと見るのがいいもんだなぁ。町中にも色々植えてあるところがあり、車からの景色だけでも楽しかった。
帰宅したら、寝押しが顔一面についたサクラ姫が大喜びで迎えてくれた。寝てたんだね・・。
諸田玲子「空っ風」
諸田玲子「空っ風」(講談社、1998年 ):図書館にて借りてきてもらった1冊。清水の次郎長の子分である小政(幼いころの名前は冬吉。その後、音五郎→小政と名を変えた)を主人公に、幕末から維新にかけての歴史の波と一人の任侠世界の男の生き様を描いた小説。
冬吉は近所にとどろく暴れん坊。なさぬ仲の父や兄弟、自分を捨てていった男に冬吉が似ていることから彼をじゃけんにあつかう母、冬吉の周囲は冷たい目に満ちていた。そんな彼がひょんなことから喧嘩をふっかけた男がなんと石松。次郎長一家の一員で周囲に恐れられているやくざものだ。その一件が次郎長親分の耳に入り、なんと彼を貰い受けたいと両親に申し入れがあったのだ。そして、彼は喧嘩とばくちと義理の世界へ足を踏み入れることになる。ところが、時代の波は次郎長一家をそのまま放っては置かなかった。時は幕末、維新の志士たちもそこここをうろちょろしており、一触即発の気配から大きな戦争へと不穏な世の中は、やくざ者の立場を変えていく。そして次郎長の考え方も少しずつ代わっていくように小政には思え、鬱憤はたまっていくのだった。また彼の唯一愛した女性がそこに絡んでくる・・・。
なんというか、ちょっと間違っただけで、人と人の間は掛け違っていくということと、この時代の流れに、そうとは気づかぬままに巻き込まれ、うまく乗っていくことができない不器用な人間の生き方というようなものを感じさせられた。読み応えがあり、またとてもうまい。過去の話とそのときの話が、入り混じる感じがあり、そこが唯一読みにくい展だけれど、それも乗り越えてしまうスピード感があり、一息に読めてしまう。私にとっては、全く未知の「清水の次郎長一家」という題材も興味深かった。
冬吉は近所にとどろく暴れん坊。なさぬ仲の父や兄弟、自分を捨てていった男に冬吉が似ていることから彼をじゃけんにあつかう母、冬吉の周囲は冷たい目に満ちていた。そんな彼がひょんなことから喧嘩をふっかけた男がなんと石松。次郎長一家の一員で周囲に恐れられているやくざものだ。その一件が次郎長親分の耳に入り、なんと彼を貰い受けたいと両親に申し入れがあったのだ。そして、彼は喧嘩とばくちと義理の世界へ足を踏み入れることになる。ところが、時代の波は次郎長一家をそのまま放っては置かなかった。時は幕末、維新の志士たちもそこここをうろちょろしており、一触即発の気配から大きな戦争へと不穏な世の中は、やくざ者の立場を変えていく。そして次郎長の考え方も少しずつ代わっていくように小政には思え、鬱憤はたまっていくのだった。また彼の唯一愛した女性がそこに絡んでくる・・・。
なんというか、ちょっと間違っただけで、人と人の間は掛け違っていくということと、この時代の流れに、そうとは気づかぬままに巻き込まれ、うまく乗っていくことができない不器用な人間の生き方というようなものを感じさせられた。読み応えがあり、またとてもうまい。過去の話とそのときの話が、入り混じる感じがあり、そこが唯一読みにくい展だけれど、それも乗り越えてしまうスピード感があり、一息に読めてしまう。私にとっては、全く未知の「清水の次郎長一家」という題材も興味深かった。
中島たい子「そろそろくる」北森鴻「屋上物語」
中島たい子「そろそろくる」(集英社、2006年):これも図書館で借りてきてもらった1冊。以前読んだ「漢方小説」も面白かったし、期待の作家さん。
主人公は、30代、独身のイラストレーター秀子。生理前になると、落ち込みが激しくなり情緒が不安定になる。また、過食、寝つきが悪くなり、お肌も荒れる。そんなすさんだ状態で、描いた仕事のイラストも全部うまくいかない!!きぃぃっとのっけから、荒れている。が、生理が始まると全てが安定し、1日経っただけで、別人のように冷静になれる。安定しているときには、地道に芸術活動をしている友人育代から誘われた、三人展に向け、自分の幼いころの絵とそれをモチーフに現在描いた絵を並べて展示するというアイディアも浮かぶ。
ところが、また生理前になると不安定に・・そんな中ひょんなことから育代の弟と付き合い始めるのだが、そこでも生理前の情緒不安定が響いてくる。
その自分でもどうにもならない変な状態を、PMSというものだと秀子は知る。月経前症候群。ホルモンバランスのせいで、生理前に肉体的にも精神的にも色々と変化が起こるのだ。そのPMSとうまく付き合おうと四苦八苦する彼女の様子がユーモラスに描かれていく。
女性なら必ず、ちょっとは覚えのある症状、状態が、思わずにやっとしてしまうような感じで描かれているのが面白い。恋にも仕事にも閉塞感を感じている秀子が、じたばたしているところも、うんうんってうなづける。ただ、なんでもかんでもPMSって言ってしまってる感じもちょっとだけするような・・。その名前を知ってしまったから、余計敏感になっちゃってるようにも思えて、でもそういうこと(知ったからこそ、敏感になること)ってありそうだなぁとも思う。
北森鴻「屋上物語」(祥伝社文庫、2003年):以前図書館で借りて読んだのだけれど、先日文庫を発見。嬉々として手に入れ読んだ直後の入院沙汰で、感想が今になってしまった。
とあるデパートの屋上にある楽園。そこは、通称さくら婆ァの縄張りだ。さくら婆ぁは、デパート屋上の遊具やお地蔵さんや、お稲荷さんがごちゃごちゃある片隅で立ち食いうどんやを営んでおり、うどんやのみならず、屋上全体を仕切っている名物婆ァだ。そもそもその呼び名だって、苗字なのか名前なのかすら分からない謎の婆ァだが、威勢のよさ、きっぷのよさは天下一品、がらっぱちの声でどなりつければ、さしものこわぁいお兄さんも、不良高校生もすくみあがって大人しくなる。
そんな屋上に、不思議な事件が勃発する。もちろん、ほおっておく婆ァじゃない。裏社会に顔も聞く興行師杜田と、ちょっと不良がかった高校生タクを従えてさくら婆ァの謎解きが始まった。
飛び降り自殺、殺人事件、失踪事件・・・・がらっぱちに見えながら、芯にはあったかいものがいっぱい詰まったさくら婆ァにとって、ほろ苦い結末の事件もありながら・・・。七篇の連作短編と、おまけのような一篇からなる短編集。
ちなみに、語り部は、屋上にあるもの言わぬものたち。お稲荷さんの狐、ベンチ、観覧車、ゲーム機、置かれたままの忘れ物、お地蔵さん。そういったものたちが語り部であることによって、さくら婆ァたちが推察するよりなかった事件の真相が読者には分かる仕組みになっている。
そういう仕掛け自体も面白いし、さくら婆ァ、タク、杜田という三人組のバランス、掛け合いも楽しめる。そういう仕掛けや、さくら婆ァの過去など盛りたくさんで、ちょっと詰め込みすぎ?って感じもするくらい。一冊で終わっちゃっているのが残念。
主人公は、30代、独身のイラストレーター秀子。生理前になると、落ち込みが激しくなり情緒が不安定になる。また、過食、寝つきが悪くなり、お肌も荒れる。そんなすさんだ状態で、描いた仕事のイラストも全部うまくいかない!!きぃぃっとのっけから、荒れている。が、生理が始まると全てが安定し、1日経っただけで、別人のように冷静になれる。安定しているときには、地道に芸術活動をしている友人育代から誘われた、三人展に向け、自分の幼いころの絵とそれをモチーフに現在描いた絵を並べて展示するというアイディアも浮かぶ。
ところが、また生理前になると不安定に・・そんな中ひょんなことから育代の弟と付き合い始めるのだが、そこでも生理前の情緒不安定が響いてくる。
その自分でもどうにもならない変な状態を、PMSというものだと秀子は知る。月経前症候群。ホルモンバランスのせいで、生理前に肉体的にも精神的にも色々と変化が起こるのだ。そのPMSとうまく付き合おうと四苦八苦する彼女の様子がユーモラスに描かれていく。
女性なら必ず、ちょっとは覚えのある症状、状態が、思わずにやっとしてしまうような感じで描かれているのが面白い。恋にも仕事にも閉塞感を感じている秀子が、じたばたしているところも、うんうんってうなづける。ただ、なんでもかんでもPMSって言ってしまってる感じもちょっとだけするような・・。その名前を知ってしまったから、余計敏感になっちゃってるようにも思えて、でもそういうこと(知ったからこそ、敏感になること)ってありそうだなぁとも思う。
北森鴻「屋上物語」(祥伝社文庫、2003年):以前図書館で借りて読んだのだけれど、先日文庫を発見。嬉々として手に入れ読んだ直後の入院沙汰で、感想が今になってしまった。
とあるデパートの屋上にある楽園。そこは、通称さくら婆ァの縄張りだ。さくら婆ぁは、デパート屋上の遊具やお地蔵さんや、お稲荷さんがごちゃごちゃある片隅で立ち食いうどんやを営んでおり、うどんやのみならず、屋上全体を仕切っている名物婆ァだ。そもそもその呼び名だって、苗字なのか名前なのかすら分からない謎の婆ァだが、威勢のよさ、きっぷのよさは天下一品、がらっぱちの声でどなりつければ、さしものこわぁいお兄さんも、不良高校生もすくみあがって大人しくなる。
そんな屋上に、不思議な事件が勃発する。もちろん、ほおっておく婆ァじゃない。裏社会に顔も聞く興行師杜田と、ちょっと不良がかった高校生タクを従えてさくら婆ァの謎解きが始まった。
飛び降り自殺、殺人事件、失踪事件・・・・がらっぱちに見えながら、芯にはあったかいものがいっぱい詰まったさくら婆ァにとって、ほろ苦い結末の事件もありながら・・・。七篇の連作短編と、おまけのような一篇からなる短編集。
ちなみに、語り部は、屋上にあるもの言わぬものたち。お稲荷さんの狐、ベンチ、観覧車、ゲーム機、置かれたままの忘れ物、お地蔵さん。そういったものたちが語り部であることによって、さくら婆ァたちが推察するよりなかった事件の真相が読者には分かる仕組みになっている。
そういう仕掛け自体も面白いし、さくら婆ァ、タク、杜田という三人組のバランス、掛け合いも楽しめる。そういう仕掛けや、さくら婆ァの過去など盛りたくさんで、ちょっと詰め込みすぎ?って感じもするくらい。一冊で終わっちゃっているのが残念。
諸田玲子「氷葬」「天女湯おれん」「犬吉」「こんちき」「誰そ彼れ心中」
諸田玲子「氷葬」(文藝春秋、2000年):お友達のサチコマちゃんのところで知った作家さん、諸田玲子さんによる、江戸時代の武家の妻を主人公にした小説。
生まれたばかりの幼い長男とともに、国元で江戸勤めの夫の帰りを待つ妻、芙佐。女子の役目は待つこと・・という祖母の教えに従うがごとく、静かで穏やかな毎日を送っている。夏から秋へ季節は移り変わり、まがまがしい蝉の死体を見つけたある日、突然に来客がある。夫の知人であるというその客、守谷は、夫に対する書状を預け、かくまえという。夫の知人とあれば、断るわけにも行かず、どこか爬虫類めいた目つきの彼を厭いながらも泊め、その夜、襲われてしまうのだ。その後一度旅立ったはずの守谷が大怪我を負って舞い戻ったとき、芙佐は彼を殺して書状もろとも、遺体を近くの沼に沈めてしまう。ところが、その後も彼を探して様々な追っ手がやってきて、静かな芙佐の生活は怒涛の数ヶ月を迎えることになってしまうのだ。
辛いひどい体験を経て、波乱に満ちた数ヶ月を送り、そして、また母親に戻る。熱い気持ちを押し殺して。武家の女のしんの強さを感じる。スピード感に満ちた、そしてどこか悲しい小説だった。
諸田玲子「天女湯おれん」(講談社、2005年):きっぷのいい江戸っ子おれんさんが営む天女湯が舞台の元気のいい小説。
おれんは、湯屋の女主人。色っぽくて粋できっぷがいい、周囲の男どもは、隙さえあらば、おれんをどうにかしたいと思っている。だが、おれんの心には、秘めた忘れられない恋がまだ燃え続けているのだ。
そんな彼女が営む湯屋には、隠し部屋がある。やむにやまれぬ事情で身を売る女性たちを身元確かな男性に、1回きりの約束で紹介しとりもつという裏家業のためだ。そんな湯屋で働く面々は、過去があり一癖もふた癖もある連中ばかり・・そして、また一人怪しい浪人が住み着くことになる。彼らをまとめ、ライバルの湯屋からの度重なる妨害にもまけず、近隣で起きた事件に首をつっこみ解決しちゃう天女湯大騒動物語。
色っぽく、艶っぽい場面もあるけれど、どこかぱっと明るいのは、おれんさんの性格からだろうか。面白かった。「氷葬」とは随分趣が異なるが、個人的にはこちらの方がすき。
諸田玲子「犬吉」(文藝春秋、2003年):時は元禄、徳川将軍綱吉によって、出された生類あわれみの令によって、「御囲」という場所に、保護されている沢山のお犬様たち。保護されたお犬様を世話する身分の低い人足がおり、その中に混ざる女性たちは、夜には人足たちに身を売って生計をたてている。そんな女の一人が、主人公犬吉。もともとは、吉原にいた彼女だったが、彼女を身請けした男は、彼女を手荒に扱い、それをとめようとしたのは、彼女の愛犬雷光だけだった。男に雷光は惨殺され、男は罪人になる。彼女は、愛する雷光、死んだ犬の面影を求めて、この御囲にやってきたのだ。
犬しか信用できない彼女は、日夜男たちの餌食になり女たちの侮蔑の対象となりながらも、犬たちの世話を続ける。ところが、最近になって犬たちが、急死することが増える。心を痛める彼女の前に、初めて彼女をさげすまない武士が、現れる・・・。犬たちの急死にまつわる謎は?彼女の思いは?
悲しい辛いひどい場面が多いのだけれど、つい先を読んでしまう。決して好きな話ではないけれど、すごいインパクトだった。
諸田玲子「こんちき」(文藝春秋、2005年):あくじゃれ瓢六シリーズ二作目。1作目を読んでいないのが残念!
江戸を舞台とした、明るい物語。びっくりするくらいの色男、瓢六、しかも口八丁手八丁、頭も切れて粋で、格好いい。そんな彼がめっぽうほれ込んでいる彼女や、周囲の仲間と共にお江戸で大暴れ。前作では、牢屋の中にスパイとしてもぐりこんで事件を解決したらしいのだけれど、今作では、瓦版屋になって、あることないこと書き立てて事件を解決に導く。そして時には、また牢屋へ・・。笑。仲間の堅物同心をときにはだましながらも協力して悪党を捕まえる。痛快小説。面白かった。
諸田玲子「誰そ彼れ心中(たそがれしんじゅう)」(新潮社、1999年):旗本屋敷にうごめく悪意と欲望の中、気付けば道ならぬ恋に落ちていた女の話。
旗本屋敷に望まれて嫁してきた瑞枝だが、姑である須磨、出戻りの義姉である初子二人に疎まれ、舅からは長男を早くと望まれ、針の筵のような生活を送っていた。体調を崩した舅から子供の催促は減ったものの、今度は夫が何かおかしい。自分が嫁いできたときの夫とは人が変わったように思えるのだ。そして、瑞枝はいつしか軟禁生活のような状態に置かれる。実家の父の見舞いにいくことすらおぼつかない。
そんな中で、いつしか、彼女は、下男の小十郎に爽やかでまっすぐなものを感じ始める・・。
つらい。とにかく読むのがしんどい悲しい話。
生まれたばかりの幼い長男とともに、国元で江戸勤めの夫の帰りを待つ妻、芙佐。女子の役目は待つこと・・という祖母の教えに従うがごとく、静かで穏やかな毎日を送っている。夏から秋へ季節は移り変わり、まがまがしい蝉の死体を見つけたある日、突然に来客がある。夫の知人であるというその客、守谷は、夫に対する書状を預け、かくまえという。夫の知人とあれば、断るわけにも行かず、どこか爬虫類めいた目つきの彼を厭いながらも泊め、その夜、襲われてしまうのだ。その後一度旅立ったはずの守谷が大怪我を負って舞い戻ったとき、芙佐は彼を殺して書状もろとも、遺体を近くの沼に沈めてしまう。ところが、その後も彼を探して様々な追っ手がやってきて、静かな芙佐の生活は怒涛の数ヶ月を迎えることになってしまうのだ。
辛いひどい体験を経て、波乱に満ちた数ヶ月を送り、そして、また母親に戻る。熱い気持ちを押し殺して。武家の女のしんの強さを感じる。スピード感に満ちた、そしてどこか悲しい小説だった。
諸田玲子「天女湯おれん」(講談社、2005年):きっぷのいい江戸っ子おれんさんが営む天女湯が舞台の元気のいい小説。
おれんは、湯屋の女主人。色っぽくて粋できっぷがいい、周囲の男どもは、隙さえあらば、おれんをどうにかしたいと思っている。だが、おれんの心には、秘めた忘れられない恋がまだ燃え続けているのだ。
そんな彼女が営む湯屋には、隠し部屋がある。やむにやまれぬ事情で身を売る女性たちを身元確かな男性に、1回きりの約束で紹介しとりもつという裏家業のためだ。そんな湯屋で働く面々は、過去があり一癖もふた癖もある連中ばかり・・そして、また一人怪しい浪人が住み着くことになる。彼らをまとめ、ライバルの湯屋からの度重なる妨害にもまけず、近隣で起きた事件に首をつっこみ解決しちゃう天女湯大騒動物語。
色っぽく、艶っぽい場面もあるけれど、どこかぱっと明るいのは、おれんさんの性格からだろうか。面白かった。「氷葬」とは随分趣が異なるが、個人的にはこちらの方がすき。
諸田玲子「犬吉」(文藝春秋、2003年):時は元禄、徳川将軍綱吉によって、出された生類あわれみの令によって、「御囲」という場所に、保護されている沢山のお犬様たち。保護されたお犬様を世話する身分の低い人足がおり、その中に混ざる女性たちは、夜には人足たちに身を売って生計をたてている。そんな女の一人が、主人公犬吉。もともとは、吉原にいた彼女だったが、彼女を身請けした男は、彼女を手荒に扱い、それをとめようとしたのは、彼女の愛犬雷光だけだった。男に雷光は惨殺され、男は罪人になる。彼女は、愛する雷光、死んだ犬の面影を求めて、この御囲にやってきたのだ。
犬しか信用できない彼女は、日夜男たちの餌食になり女たちの侮蔑の対象となりながらも、犬たちの世話を続ける。ところが、最近になって犬たちが、急死することが増える。心を痛める彼女の前に、初めて彼女をさげすまない武士が、現れる・・・。犬たちの急死にまつわる謎は?彼女の思いは?
悲しい辛いひどい場面が多いのだけれど、つい先を読んでしまう。決して好きな話ではないけれど、すごいインパクトだった。
諸田玲子「こんちき」(文藝春秋、2005年):あくじゃれ瓢六シリーズ二作目。1作目を読んでいないのが残念!
江戸を舞台とした、明るい物語。びっくりするくらいの色男、瓢六、しかも口八丁手八丁、頭も切れて粋で、格好いい。そんな彼がめっぽうほれ込んでいる彼女や、周囲の仲間と共にお江戸で大暴れ。前作では、牢屋の中にスパイとしてもぐりこんで事件を解決したらしいのだけれど、今作では、瓦版屋になって、あることないこと書き立てて事件を解決に導く。そして時には、また牢屋へ・・。笑。仲間の堅物同心をときにはだましながらも協力して悪党を捕まえる。痛快小説。面白かった。
諸田玲子「誰そ彼れ心中(たそがれしんじゅう)」(新潮社、1999年):旗本屋敷にうごめく悪意と欲望の中、気付けば道ならぬ恋に落ちていた女の話。
旗本屋敷に望まれて嫁してきた瑞枝だが、姑である須磨、出戻りの義姉である初子二人に疎まれ、舅からは長男を早くと望まれ、針の筵のような生活を送っていた。体調を崩した舅から子供の催促は減ったものの、今度は夫が何かおかしい。自分が嫁いできたときの夫とは人が変わったように思えるのだ。そして、瑞枝はいつしか軟禁生活のような状態に置かれる。実家の父の見舞いにいくことすらおぼつかない。
そんな中で、いつしか、彼女は、下男の小十郎に爽やかでまっすぐなものを感じ始める・・。
つらい。とにかく読むのがしんどい悲しい話。
ミステリ(ローラ・チャイルズ、北森鴻)
ローラ・チャイルズ「グリーンティは裏切らない」(ランダムハウス講談社文庫、2006年):お茶と探偵シリーズ二作目。前作よりぐんと読みやすくなり、また登場人物の個性も安定(?)してきた感じで、格段に好みの雰囲気となった。視点がある程度一定なのがいいのかもしれない。
歴史の街チャールストンで、隅々まで目の行き届いた素晴らしいティショップ「インディゴ・ティーショップ」を営むセオドシア。慌しい広告業界から引退して(といっても若い)心豊かな時間を提供すること、芳醇な香りに満ちた種類豊かな茶葉の数々をとりそろえること、開いたばかりのネットショップの展開などなどお店の経営に専念している。そんな多忙な彼女なのだが、前作に続き、またしても事件に巻き込まれ、好奇心豊か且つ、人脈に恵まれた彼女は探偵することになってしまう。
ヨットクラブの大会に「海辺のお茶会」のケータリングを任されていたセオドシア&インディゴティショップのメンバーたち。爽やかなアイスティを供し、ヨット大会も一等のゴールが目前にせまり、大成功を収めるかに見えた、その瞬間、ゴールを知らせるため鳴らされる予定だったアンティーク銃が暴発してしまうのだ。身近にいたセオドシアはとっさにその場を取り仕切る。死んだ男は、若い妻を迎えたばかりのハイテク会社の社長で富豪、そして、直前には口論していたのも目撃されている。疑わしい死、ささやかれる噂。現場にいたこと、不審に思ったことなどなどから、情報を集め始めたそのとき、容疑者と目された男の姉がセオドシアの古い恩人と分かり・・・。
ミステリとしての、謎解きもしっかりしていて面白いけれど、それ以上に、心惹かれるのが、このインディゴティショップのしつらえや、パッケージ案、新しいお茶、催し。特にセオドシアの右腕で素晴らしいティブレンダーであるドレイトンの開く数々のお茶会(「室内楽のお茶会」「ミステリのお茶会」「アートのお茶会」)は是非一度いってみたいと思わされる。美味しい紅茶に、インディゴティショップの、もう一人のメンバー、ヘイリーの作り出す絶品お菓子をほおばり、セオドシアの愛犬アールグレイにあってみたいものだ。
こういう風に、舞台がきちっと出来ているミステリは大好き。
北森鴻「メビウスレター」(講談社文庫、2001年):大好きな作家さんである北森さんの文庫。実家においていたので、療養中に再読。
北森さんの著作では、やはりバー香菜里屋シリーズや「メインディッシュ」といったどちらかというと明るい雰囲気が漂うものの方が好きだ。
でも、この本を読んだときは、とにかく「やられた」と思ったものだ。
ぐるんぐるんとひっくり返る感じ。こうかなと思うとああで、ああかなと思うとこうで。笑。素直に載せられて楽しめた。
作家阿坂龍一郎の下に、過去からの手紙が届く・・数年前に起きたある学生の自殺を調べ、今は亡き人にあててその経緯を知らせるといった内容の手紙。なぜ、阿坂に?そして阿坂はどうしてこうも動揺するのか?
時を同じくして、強引且つ、押し付けがましい主婦らしき女が、ファンだといい、阿坂のところに出入りを始める。
そして、再び事件は起こった。阿坂の担当編集者が殺されたのだ。放火事件も相次ぎ、更に強引なファンも殺されてしまう。
追い詰められていく阿坂。阿坂が犯人なのか?また手紙に書かれている「事件」とのかかわりは?地震にまつわる新聞記事の意味は?阿坂の正体は?
ちょっとだけ無理かな?って思うところもあるんだけど、ひとつも見逃せない、読み落とせない。面白い。
歴史の街チャールストンで、隅々まで目の行き届いた素晴らしいティショップ「インディゴ・ティーショップ」を営むセオドシア。慌しい広告業界から引退して(といっても若い)心豊かな時間を提供すること、芳醇な香りに満ちた種類豊かな茶葉の数々をとりそろえること、開いたばかりのネットショップの展開などなどお店の経営に専念している。そんな多忙な彼女なのだが、前作に続き、またしても事件に巻き込まれ、好奇心豊か且つ、人脈に恵まれた彼女は探偵することになってしまう。
ヨットクラブの大会に「海辺のお茶会」のケータリングを任されていたセオドシア&インディゴティショップのメンバーたち。爽やかなアイスティを供し、ヨット大会も一等のゴールが目前にせまり、大成功を収めるかに見えた、その瞬間、ゴールを知らせるため鳴らされる予定だったアンティーク銃が暴発してしまうのだ。身近にいたセオドシアはとっさにその場を取り仕切る。死んだ男は、若い妻を迎えたばかりのハイテク会社の社長で富豪、そして、直前には口論していたのも目撃されている。疑わしい死、ささやかれる噂。現場にいたこと、不審に思ったことなどなどから、情報を集め始めたそのとき、容疑者と目された男の姉がセオドシアの古い恩人と分かり・・・。
ミステリとしての、謎解きもしっかりしていて面白いけれど、それ以上に、心惹かれるのが、このインディゴティショップのしつらえや、パッケージ案、新しいお茶、催し。特にセオドシアの右腕で素晴らしいティブレンダーであるドレイトンの開く数々のお茶会(「室内楽のお茶会」「ミステリのお茶会」「アートのお茶会」)は是非一度いってみたいと思わされる。美味しい紅茶に、インディゴティショップの、もう一人のメンバー、ヘイリーの作り出す絶品お菓子をほおばり、セオドシアの愛犬アールグレイにあってみたいものだ。
こういう風に、舞台がきちっと出来ているミステリは大好き。
北森鴻「メビウスレター」(講談社文庫、2001年):大好きな作家さんである北森さんの文庫。実家においていたので、療養中に再読。
北森さんの著作では、やはりバー香菜里屋シリーズや「メインディッシュ」といったどちらかというと明るい雰囲気が漂うものの方が好きだ。
でも、この本を読んだときは、とにかく「やられた」と思ったものだ。
ぐるんぐるんとひっくり返る感じ。こうかなと思うとああで、ああかなと思うとこうで。笑。素直に載せられて楽しめた。
作家阿坂龍一郎の下に、過去からの手紙が届く・・数年前に起きたある学生の自殺を調べ、今は亡き人にあててその経緯を知らせるといった内容の手紙。なぜ、阿坂に?そして阿坂はどうしてこうも動揺するのか?
時を同じくして、強引且つ、押し付けがましい主婦らしき女が、ファンだといい、阿坂のところに出入りを始める。
そして、再び事件は起こった。阿坂の担当編集者が殺されたのだ。放火事件も相次ぎ、更に強引なファンも殺されてしまう。
追い詰められていく阿坂。阿坂が犯人なのか?また手紙に書かれている「事件」とのかかわりは?地震にまつわる新聞記事の意味は?阿坂の正体は?
ちょっとだけ無理かな?って思うところもあるんだけど、ひとつも見逃せない、読み落とせない。面白い。
エッセイ集(高橋克彦、よしもとばなな、さくらももこ)
高橋克彦「浮世絵ミステリーゾーン」(講談社文庫、1991年):浮世絵・・とても私にとって遠い存在のもの。そんな浮世絵にどこで興味を抱いたものか・・学生時代に読んだ1冊だ。
うちの本棚に眠っていたものを、実家療養中に掘り出して再読した。
有名な絵師、一般人にはほとんど馴染みのない絵師・・様々な絵師の作品を丁寧に解説たものであり、作者の好みや思いを書いたエッセイでもある。とても分かりやすく、また浮世絵の楽しみを教えてくれる本だ。そして、一言で浮世絵とまとめているけれど、その中にはなんとたくさんの種類があることか。びっくりする。
小説家としての高橋克彦だけではなく、浮世絵研究者の高橋克彦の姿を垣間見ることもできる。
よしもとばなな「なんくるなくない」(新潮文庫、2006年):よしもとばななさんの沖縄旅日記(ちょっとだけ奄美も)。よしもとさんファンにはお馴染みの「おじい」こと垂見健吾さんの写真と、原マスミさんの絵も添えられている。内容は、今までに出たyoshimotobana.comシリーズから抜粋加筆改稿されたもの+書き下ろし一篇の沖縄旅日記なのだけれど、こういう風にまとめられると、また特別の感じがする。初めて沖縄を訪れたという1999年の夏から、2005年まで。ばななさんご自身にも大きな変化があり(出産など)、そういう意味でも面白い一冊になっている。生々しいむき出しの自然や、どこか気持ちがほどけていくような風にであったときの、ばななさんの表現もいい。何かを感じ取り、それをうまく表現することが出来る人の旅日記は、本当に面白い。
さくらももこ「21世紀日記、No5」(幻冬舎、2006年):やめようやめようと思っていても、図書館で見かけるとつい借りてしまうのが、さくらももこさんの21世紀日記シリーズだ。
ももこさんの短いエッセイ(日記)とイラストが収められたもので、これは、2004年11月から2005年10月末までのちょうど一年分。ももこさんが、興味を持っていること、好きなもの、買ったもの、息子さんとの生活などが淡々と語られている。独特のちょっとシニカルな部分もあるけれど、他のエッセイのように爆笑するようなところもなく、落ち着いている。どちらかというとほのぼのした感じ。生活の一部だけを切り取ったものだからだろうけれど、息子さんが、結構わがままに思えてしまう・・・気のせい?!
うちの本棚に眠っていたものを、実家療養中に掘り出して再読した。
有名な絵師、一般人にはほとんど馴染みのない絵師・・様々な絵師の作品を丁寧に解説たものであり、作者の好みや思いを書いたエッセイでもある。とても分かりやすく、また浮世絵の楽しみを教えてくれる本だ。そして、一言で浮世絵とまとめているけれど、その中にはなんとたくさんの種類があることか。びっくりする。
小説家としての高橋克彦だけではなく、浮世絵研究者の高橋克彦の姿を垣間見ることもできる。
よしもとばなな「なんくるなくない」(新潮文庫、2006年):よしもとばななさんの沖縄旅日記(ちょっとだけ奄美も)。よしもとさんファンにはお馴染みの「おじい」こと垂見健吾さんの写真と、原マスミさんの絵も添えられている。内容は、今までに出たyoshimotobana.comシリーズから抜粋加筆改稿されたもの+書き下ろし一篇の沖縄旅日記なのだけれど、こういう風にまとめられると、また特別の感じがする。初めて沖縄を訪れたという1999年の夏から、2005年まで。ばななさんご自身にも大きな変化があり(出産など)、そういう意味でも面白い一冊になっている。生々しいむき出しの自然や、どこか気持ちがほどけていくような風にであったときの、ばななさんの表現もいい。何かを感じ取り、それをうまく表現することが出来る人の旅日記は、本当に面白い。
さくらももこ「21世紀日記、No5」(幻冬舎、2006年):やめようやめようと思っていても、図書館で見かけるとつい借りてしまうのが、さくらももこさんの21世紀日記シリーズだ。
ももこさんの短いエッセイ(日記)とイラストが収められたもので、これは、2004年11月から2005年10月末までのちょうど一年分。ももこさんが、興味を持っていること、好きなもの、買ったもの、息子さんとの生活などが淡々と語られている。独特のちょっとシニカルな部分もあるけれど、他のエッセイのように爆笑するようなところもなく、落ち着いている。どちらかというとほのぼのした感じ。生活の一部だけを切り取ったものだからだろうけれど、息子さんが、結構わがままに思えてしまう・・・気のせい?!
杉浦さやか、幸田文、こぐれひでこ
入院中&安静期間中に読んだ本は沢山あるけれど、今手元にあるのは、少数。笑。両親、妹が貸してくれたもの、実家においてある懐かしい本の数々、そして、メガネさんが図書館で借りてきてくれた本たち。
なので、今感想を書ける本は少ないけれど、ゆっくり少しずつここに感想を載せていこうと思う。
杉浦さやか「スクラップ帖のつくりかた」(KKベストセラーズ・2005年):大好きな杉浦さんの本。退院してからの安静期間に何度も何度も舐めるように(笑)読み返してしまった。表紙からして好きだ。細い横に線が入ったような紙っぽい印刷の上に、私の好きな色彩(ちょっとくすんだピンク、水色、青)の杉浦さんのイラストが踊る。開くとお馴染みの杉浦さんの字体での前書きに続き、目次。
杉浦さんのスクラップの歴史、様々な簡単な日記形式のスクラップについて、スクラップするための道具や作り方。そしてスケジュール帳や旅の手帖、引っ越しノートと続いていく。
私個人は、日記はサイトでの日記のみで、実際のノートにはほとんど書かない生活を送っている。そしてそれを変えるつもりも今のところないのだけれど、それでも、心惹かれる。
そして、今現在私もやっていることとしては、旅の手帖。これは本当に便利だし、お勧め。杉浦さんのほど、徹底したものではないけれど、地図や行ってみたいお店をピックアップしておくのって本当に楽しいし、実際に使える。(いくら観光地とはいえ、るるぶなどを丸めて持つのってやっぱりかさばるし不恰好)
それと、私自身は使うチャンスがないけれど、可愛くないノートに可愛い表紙をつけるやり方は、小中学生のころとかに知っていたら、楽しかったろうなって思った。ノートが可愛いと学習意欲が違うはず。たぶん。笑。
いろんな方の、スケジュール帳や旅手帖がのっているところは、とても興味深かったし、素敵なイラストも可愛くて、楽しい1冊だった。
幸田文「崩れ」(講談社文庫、1994):幸田文さんの年取ってからも尽きることのない好奇心と行動力に驚かされる一冊。旅の途中山菜取りに興じているときに、偶然知った山の崩落。崩れ、崩壊ということに、興味を抱く文さん。そこから、様々な崩れを、日本全国めぐって歩く。72歳の普段は着物しかまとわないような女性が。荒々しい崩れと対峙し、一歩も引かぬ文さんはすごい。そして、文章がなんとも言えず味わい深く、文さん独特のなんともいえない表現が好ましい。薄い一冊で、横になっていても読みやすいのだけれど、中身はずっしり詰まっている。
こぐれひでこ「こぐれのごはんジャーナル」(ハヤカワ文庫、2005年):こぐれひでこさんの日々のごはんを写真と共に綴った1冊。ごはん日記。これが・・・なんともいえず美味しそうなのだ!!レシピもついていて、作りたい作りたい作りたい〜ってなってしまう。お腹が空くこと間違いなし。
そして、写真が上手なんだなぁ。また。しつらえもお洒落で、見習うべき点が山ほどある1冊。
なので、今感想を書ける本は少ないけれど、ゆっくり少しずつここに感想を載せていこうと思う。
杉浦さやか「スクラップ帖のつくりかた」(KKベストセラーズ・2005年):大好きな杉浦さんの本。退院してからの安静期間に何度も何度も舐めるように(笑)読み返してしまった。表紙からして好きだ。細い横に線が入ったような紙っぽい印刷の上に、私の好きな色彩(ちょっとくすんだピンク、水色、青)の杉浦さんのイラストが踊る。開くとお馴染みの杉浦さんの字体での前書きに続き、目次。
杉浦さんのスクラップの歴史、様々な簡単な日記形式のスクラップについて、スクラップするための道具や作り方。そしてスケジュール帳や旅の手帖、引っ越しノートと続いていく。
私個人は、日記はサイトでの日記のみで、実際のノートにはほとんど書かない生活を送っている。そしてそれを変えるつもりも今のところないのだけれど、それでも、心惹かれる。
そして、今現在私もやっていることとしては、旅の手帖。これは本当に便利だし、お勧め。杉浦さんのほど、徹底したものではないけれど、地図や行ってみたいお店をピックアップしておくのって本当に楽しいし、実際に使える。(いくら観光地とはいえ、るるぶなどを丸めて持つのってやっぱりかさばるし不恰好)
それと、私自身は使うチャンスがないけれど、可愛くないノートに可愛い表紙をつけるやり方は、小中学生のころとかに知っていたら、楽しかったろうなって思った。ノートが可愛いと学習意欲が違うはず。たぶん。笑。
いろんな方の、スケジュール帳や旅手帖がのっているところは、とても興味深かったし、素敵なイラストも可愛くて、楽しい1冊だった。
幸田文「崩れ」(講談社文庫、1994):幸田文さんの年取ってからも尽きることのない好奇心と行動力に驚かされる一冊。旅の途中山菜取りに興じているときに、偶然知った山の崩落。崩れ、崩壊ということに、興味を抱く文さん。そこから、様々な崩れを、日本全国めぐって歩く。72歳の普段は着物しかまとわないような女性が。荒々しい崩れと対峙し、一歩も引かぬ文さんはすごい。そして、文章がなんとも言えず味わい深く、文さん独特のなんともいえない表現が好ましい。薄い一冊で、横になっていても読みやすいのだけれど、中身はずっしり詰まっている。
こぐれひでこ「こぐれのごはんジャーナル」(ハヤカワ文庫、2005年):こぐれひでこさんの日々のごはんを写真と共に綴った1冊。ごはん日記。これが・・・なんともいえず美味しそうなのだ!!レシピもついていて、作りたい作りたい作りたい〜ってなってしまう。お腹が空くこと間違いなし。
そして、写真が上手なんだなぁ。また。しつらえもお洒落で、見習うべき点が山ほどある1冊。










